Web関連技術の標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)は,医療業界とSemantic Webの専門家を連携させるための新しいワーキング・グループ「Semantic Web for Health Care and Life Sciences Interest Group(HCLSIG)」を設置した。W3Cが米国時間11月22日に明らかにした。

 HCLSIGは,医療業界と生命科学業界における協調,研究開発や革新技術の改善を目指すもので,ユーザー・コミュニティが定義する特定のサービス群に,標準化されたSemantic Web仕様の導入を進めるW3C初の取り組みとなる。

 W3CディレクタのTim Berners-Lee氏は,「この分野の専門家の意見を聞き,W3Cの活動が専門家のニーズを満たすかを見極め,将来的な要望に応えるための機会となる」とコメントしている。

 W3Cによれば,生命科学の研究コミュニティと医療サービス提供者の両方において,データ共有を妨げる境界が,革新技術を限定的なものにするとともに効果的な医療サービス提供の妨げとなっている。例えば,科学者,生物学者,臨床医師が生成したデータと情報は相互に有益であるにもかかわらず,多くは互いに利用することはできない。

 HCLSIGでは,これらのコミュニティを連携させるインフラを構築するために,関係者を集めるだけでなく,高度なシステムやプロセス,あるいは情報の相互運用性を確保するフレームワークの構築を目指す。また,Semantic Web技術の採用を促進し,医療と生命科学業界において相互運用可能なデータベースの開発を促進する活動を行なうという。

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