カリフォルニア州中部の米連邦地方裁判所は,米連邦取引委員会(FTC)が告発していた米Enternet Mediaおよび経営者3人に対し,業務の一次差し止め命令を下した。FTCが米国時間11月10日に明らかにしたもの。Enternet Media社は無料の音楽,ブラウザ・アップデート,着信音などに見せかけて,インターネット・ユーザーにスパイウエアをダウンロードさせたという。

 FTCによると,Enternet Media社のWebサイトではポップアップ広告を表示する「インストール・ボックス」を設けており,音楽ファイルや,携帯電話向け着信音,画像,待ち受け画面といったフリーウエアを提供したり,ブラウザの脆弱性を警告したりする。ただしダウンロードされるのは,「ユーザーが考えているフリーウエアやセキュリティ・パッチなどではなく,スパイウエアである」(FTC)。

 またEnternet Media社のアフィリエイトの1人も,ブログ向けBGMを装った悪質なソフトウエアをばらまいたとして同様の判決を受けた。そのソフトウエアをダウンロードしたブログ・サイトをインターネット・ユーザーが訪れると,コンピュータのセキュリティに関する警告が表示される。ユーザーが,セキュリティのアップグレードを承認してクリックすると,スパイウエアがユーザーのコンピュータにダウンロードされる仕組み。

 FTCは裁判所に対し,Enternet Media社と経営者およびアフィリエイトの恒久的な業務停止と,不正行為で得た収入の放棄を命じるよう求めている。

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