米Microsoftと米Cisco Systemsは,NAT(network address translation)を使ったネットワーク環境においてVoIPを利用できるようにする新しい技術「Interactive Connectivity Establishment(ICE)」へのサポートを米国時間11月10日に発表した。両社は同技術の開発に参加し,標準ベースの通信ソリューションを開発する意向を明らかにした。
ICEは,クライアント同士が直接通信するピア・ツー・ピア型のアプリケーションにおけるNATの問題に対応するために,インターネットの標準化機関Internet Engineering Task Force(IETF)が開発を手がけている技術。同技術では,STUN(Simple Traversal of UDP through NATs)とTURN(Traversal Using Relay NAT)プロトコルを使って協調的にサーバーの接続を確立させる。
NATは,企業のIPネットワークで利用されているが,ネットワーク侵入を防止する機能がネットワーク外部からの音声やビデオ・ストリーミングを遮断してしまう可能性がある。セキュリティ強化やその他の利点がある反面,VoIP導入の障害となっている。
Microsoft社Office Real-Time Collaboration Group担当コーポレート副社長のGurdeep Singh Pall氏は,「NATとファイアウオールを介してVoIPをうまく利用できるようにするという課題に業界は直面している。ネットワークにおいてSession Initiation Protocol(SIP)ベースのVoIP相互接続性を高めるために,両社は業界パートナにICEの採用を促している」とコメントしている。
Microsoft社は11月4日,VoIP技術ベースのコミュニケーション・アプリケーションを開発しているスイスのmedia-streams.comの買収し,同社のアプリケーションとサーバーにVoIP機能を追加する計画を明らかにしている。また,8月には,VoIP技術会社の米Teleoを買収してMSNサービスの拡充を図る計画も発表している。
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