「スパイウエア問題は世界的に広まっており,感染率も引き続き高まっている。企業と一般ユーザーは共にスパイウエアによる大きな潜在的リスクにさらされている」。米Webroot Softwareがスパイウエアに関して調査した結果を米国時間11月8日に発表した。

 同社によれば,世界全体におけるインターネットへのアクセスの増加が,スパイウエアが広まっている主な要因となっている。米国では,消費者向けパソコンにおけるスパイウエアの感染率がもっとも高く,平均して1台あたり24.4個のスパイウエアが潜んでいることが分かった。2位はタイで平均18.7個,3位が英国の平均18.1個だった。

 また,トロイの木馬,キーロガー,システム・モニターといったスパイウエアは,警戒すべき速度で感染を広めている。これらの種類のスパイウエアは,ユーザーの振る舞いを監視して個人情報を盗むため,財務情報,顧客や従業員記録といった重要な情報の保守を義務付けられている企業にとっては憂慮すべき問題となっている。

 企業の情報セキュリティ担当を対象に調査をした結果,企業にとってスパイウエアが「脅威である」と感じている回答者は98%だった。3分の2以上は「深刻な脅威である」と回答している。80%以上の回答者は,重要な情報へのアクセスを可能にするキーロガーやシステム・モニターといった種類のスパイウエアがもっとも悪質であるとしている。

 また,97%の回答者は,スパイウエアにより,従業員情報へのアクセス,知的資産の盗難,企業または顧客情報へのアクセスが可能になることを恐れている。しかし,これらの数値に反して調査対象となった企業の多くは,企業向けアンチスパイウエア製品で情報を保護していないことが明らかになっている。

 スパイウエアの脅威は,消費者のオンライン活動にも影響を与えている。調査によれば,オンライン消費者の89%は個人情報の盗難を恐れ,その影響でオンライン上の振る舞いに何らかの変化があると回答している。また,30%はインターネットの利用が減ったと回答している。

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