PtoP型ファイル交換ネットワークを運用する米Groksterは,サービスを停止したことを米国時間11月7日に発表した。同社を提訴していた米映画業界および音楽業界と和解に達し,サービスおよびソフトウエア配布を停止することで合意したことが明らかになった。

 Grokster社のWebサイトには同日から,「最高裁は,全員一致により当社のサービスを使った著作権物の交換は違法との見解を示した。著作権のある映画や音楽ファイルを認可されていないPtoPサービスを使ってコピーすることは違法であり,著作権所有者から罪に問われることになる」と表示されている。

 また,「音楽や映画をダウンロードするための合法的なサービスはほかにあるが,このサービスは合法なものではない。Groksterでは,安全で合法的なサービスを早期に提供したいと考えている」と記している。同サイト上に新しい合法的なサービス「GROKSTER 3G」を紹介するサイトのURL(www.grokster3g.com)を掲載している。

 ファイル交換ソフトウエアに関し,米最高裁判所は6月27日に,「PtoPソフトウエアを提供するGrokster社および米StreamCast Networksに著作権侵害の責任を課すことが可能」とする判断を示している。同訴訟は,損害額などの算定のため下級審に差し戻しされていた。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,米ロスアンゼルス連邦裁判所に提出された合意内容には,Grokster社が直ちにファイル交換ネットワークのサポートを停止し,Grokster社のオーナーには同訴訟の原告側である米映画協会(MPAA),全米音楽パブリッシャ協会,全米レコード協会(RIAA)に損害賠償として合計5000万ドルを支払う責任があると記されている。

 Grokster社とともに提訴された米Morpheusの親会社であるStreamCast Networks社は,現在もサービスを続けており,下級裁判所でも裁判を続ける意向を明らかにしている。

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