Web関連技術の標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)は,Web上におけるルール記述交換方法の標準化に取り組むワーキング・グループ「Rule Interchange Format (RIF)Working Group」の発足を米国時間11月7日に発表した。ビジネス・ルールとWebアーキテクチャの結合を目指す。

 W3Cによれば,ルールは,Semantic Webを実現させるための重要な構成要素であり,複数ソースからのデータを統合,展開,変換を可能にするもの。W3CディレクタのTim Berners-Lee氏は,「ルール記述の標準を策定するために,ビジネス・ルール・ベンダー,ユーザー企業,ルール記述言語の設計者,Semantic Web開発者が集まることは,Semantic Webが真価を発揮するための重要なステップである」とコメントしている。

 Rule Interchange Formatは,既存または新しいルール記述言語に統一的な記述方法を提示し,あるアプリケーション向けに書かれたルールを,他のアプリケーションや別のルール・エンジンによって公開,共有,統合,再利用可能にするもの。また,個人,部門,企業,公共データ・ソースのデータ統合や新しい推論機能を提供する。データ・ソースの統合と推論機能の向上により,企業の新規顧客の獲得,医師の処方箋の承認,銀行のローン申し込み手続きなどを支援できるという。

 また,W3Cによれば,Web 向けの Rule Interchange Formatにより,標準化によるコスト削減だけでなく,とくにSemantic Webインフラによって提供される異なるデータ・ソースからのルール記述の交換や統合機能により,従来のルール技術も強化される。

 動的なビジネス・ルール市場とWebアーキテクチャを結びつける動きは,同年4月に開催された相互運用のためのルール記述言語に関するW3Cワークショップ「Rule Languages for Interoperability」から始まった。同ワークショップには,仏ILOG,米Fair Isaac,米IBM,米Oracle,米GMをふくむ60を超える企業や研究機関が参加した。新しいW3C RIF Working Groupは,多様なコミュニティの要求を調整し,ルール記述言語間でのルール変換とルールシステム間での相互転送を実現する中心となるルール記述言語とその拡張を策定に取り組む。

 詳細は W3C Rule Interchange FormatのWebサイトに掲載されている。

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