米Computer Associates International(CA)からスピンアウトして設立された米Ingresは,役員人事を決定した。CA社とIngres社,ベンチャー・キャピタルの米Garnett & Helfrich Capitalが米国時間11月7日に明らかにしたもの。

 Ingres社は,CA社のオープンソース・リレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)「Ingres」を手がける部門が独立して誕生した企業。筆頭株主はGarnett & Helfrich Capital社だが,役員会の人事権はCA社が持つ。

 元々Ingresは,30年前にカリフォルニア大学バークレー校で開発されたRDBMS。当初ソースコードはBSDライセンスで公開されていたが,1980年代半ばに商用データベースとして販売されるようになった。その後CA社が1994年に,Ingresの権利を持っていたASK Group社からIngres部門を買収した。CA社は2004年にIngresをオープンソースとして公開している。

 今後Ingres社は,独立した企業としてオープンソース市場に注力して開発/事業を進める。CA社はIngres社と開発や販売で協力する。「2004年に当社は製品構成を詳細に検討し,成長が期待される分野に投資を集中的に行う最良の方法を決定した。Garnett & Helfrich Capital社と協力することで,Ingres製品の価値を解き放つのに必要な集中と投資が可能となる」(CA社社長兼CEOのJohn A. Swainson氏)

 Ingres社の主な役員は以下の通り。

・会長兼暫定CEO:
 Garnett & Helfrich Capital社マネージング・ディレクタのTerry Garnett氏

・戦略担当上級副社長兼CTO:
 Dave Dargo氏

・技術担当上級副社長:
 ASK Group社で開発管理を手がけ,その後1994年の買収にともないCA社に入社したEmma McGrattan氏

・サポート&サービス担当上級副社長:
 Andy Allbritten氏

・CMO兼事業開発担当上級副社長:
 Dev Mukherjee氏

 そのほかCA社技術戦略担当上級副社長兼主任技術アーキテクトのMark Barrenechea氏,Garnett & Helfrich Capital社共同設立者兼マネージング・ディレクタのDavid Helfrich氏なども役員に就任する。

 米メディアの報道(internetnews.com)によると,100人の開発者およびサポート&サービス担当者はCA社からIngres社に移籍する。Ingres社はマーケティング/販売/事業開発部門で人員を50人以上増やす計画という。

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[発表資料(CA社,Garnett & Helfrich Capital社,Ingres社)]
[発表資料(Ingres社)]