米Trend Microは米国時間10月11日,企業におけるスパイウエアの脅威について調査した結果を発表した。それによると,企業のエンド・ユーザーの87%以上がスパイウエアの存在を認識しているという。しかし,スパイウエアの脅威について社内のIT部門からもっと教えてほしいというユーザーは53%にのぼり,スパイウエアに関する知識は不十分であることが分かった。

 調査は2005年7月に,米国,ドイツ,日本のさまざまな規模の企業で、社員1200人を対象にオンラインでアンケートを実施したもの。

 職場のコンピュータでスパイウエアに遭遇したことがあるユーザーは,米国が最も多く40%。次いで,ドイツが23%,日本が14%だった。いずれの国でも,スパイウエアに遭遇する頻度は大企業より中小企業の方が高かった。一方,スパイウエアに遭遇したことがあるユーザーのうち,スパイウエアの被害に遭ったことを認識するユーザーは45%しかいなかった。

 「スパイウエアの脅威について認識しているエンド・ユーザーは多いが,スパイウエアはユーザーが知らぬ間にコンピュータに忍び込むことが多く,スパイウエアを検出するのに十分な知識をユーザーが持っているとは限らない」(同社)

 社内にIT部門を抱える企業の場合,IT部門がより精力的にスパイウエア対策を講じるべきと感じているユーザーは米国で約40%に達した。また日本では,スパイウエア対策が不十分と感じているユーザーが全体的に多く,中小企業で3分の2の回答者が,大企業で2分の1の回答者がこの懸念を指摘した。

 また,スパイウエアに対する知識不足を解消するために,社内のIT部門に教育してほしいというユーザーは日本が64%,米国が52%,ドイツが45%だった。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・企業はスパムより,ウイルスやスパイウエアの被害を懸念している

・職場でスパイウエアの被害にあったという米国のユーザーは,中小企業で26%,大企業で21%

・ドイツと日本の中小企業では,スパイウエアの被害にあったことを認識しているユーザーはわずか7%

・米国でスパイウエアの弊害として最も多かったのは,「コンピュータの性能低下」「生産性低下」「帯域幅の占拠」「悪意のあるダウンロード」「プライバシの侵害」だった

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