米IBMは,ソフトウエア開発ツール「IBM Rational Unified Process(RUP)」の一部をオープンソース開発ツールの業界団体Eclipse Foundationに提供する。IBM社が米国時間10月12日に明らかにしたもの。

 ソフトウエア開発作業の現状について,同社は以下のように問題を指摘する。「開発組織の規模は世界的なレベルに拡大しつつある。新たな開発チームが頻繁に作られ,開発者がしばしばチーム間を移動するなど,変化の激しい環境に囲まれている」

 ところが要求設定,分析/設計,試験/プロジェクト管理などの中核作業に標準が存在しないという。「そのため開発組織は,ソフトウエア開発の基盤として使うプロセスや計画,ルールに関する無数の文書を繰り返し作ることになる。そうして開発が長期化し,余計な作業が増える。ベスト・プラクティスも個別の開発チームや特定企業の内部にとどまり,外部と共有されないことが多い」(同社)

 RUPは,ソフトウエア開発手法とベスト・プラクティスをまとめた開発プロセス・プラットフォームである。ソフトウエア開発プロジェクトの品質および効率を高めるため,世界中で約50万人の開発者がさまざまな規模のプロジェクトに活用しているという。

 「当社がRUPをEclipse Foundationに提供することで,基盤アーキテクチャとWeb対応ツールの利用が可能となり,ソフトウエア開発ベスト・プラクティスの共有,再利用が実現する」(同社)

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,Eclipse Foundation内ではIBM社を含むソフトウエア企業など15社がオープンソース・プロジェクト「Project Beacon」を作り,RUPをベースにした活動を展開する予定という。

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