米Forrester Researchは米国時間10月11日,米国におけるIT支出の今後の展望について調査した結果を発表した。それによると,2005年と2006年は前年比7%増の成長をみせるものの,2007年には同2%増と成長スピードを落とす見通しだ。しかし,2010年が近づくにつれ,同9%増とふたたびIT支出が拡大するという。

 Forrester Research社は,企業のIT支出は,経済全般の成長と新しいテクノロジの導入という,2つの要因の影響を受けると説明する。このため,インターネット関連技術が普及し始めた2001年以降,米国のIT支出平均はGDPの成長率とほぼ同じ7%だった。しかし同社は,米国のGDPが,税率やエネルギ価格の上昇,住宅市場の悪化などに対する懸念から,2006年後半から2007年にかけて停滞するとみており,IT支出も大幅に落ち込むと予測する。

 分野別にみた2010年までの年平均成長率(CAGR)予測は次の通り。

・コンピュータ関連機器:2006年前半まで,価格と性能が魅力的な新しいサーバー,パソコン,ストレージ製品などが成長をけん引する。2008年までのCAGRは9%となる。2009年~2010年は新技術の普及により11%。

・ソフトウエア:約6%で推移する。ソフトウエア支出の増加に貢献しそうな製品は,米Microsoftの次期Windows OS「Vista」(2006年後半リリース予定)や,米Oracleと独SAPによるSOAベースのアプリケーション・スイート(2008年リリース予定)。

・ITサービス:ITコンピューティングやシステム統合に関する支出が2007年から落ち込み,2008年には1%になる。しかし新技術の導入が進む2009年~2010年は13%まで回復する。

・ITアウトソーシング:開発業務,個別のアプリケーション,通信ネットワークなどの継続的なアウトソーシングにより市場は飽和状態となり,2007年~2009年には6%になる見通し。

 なお同社によると,技術経済は8~10年単位で,「革新期」「成長期」「安定期」の3つの投資サイクルを循環しているという。インターネット関連技術の急速な普及を経て,2001年より安定期に入っており,次の革新期と成長期が到来するのは新技術が成熟する2008年~2009年と予測している。

 同社は,次の投資サイクルを後押しする新技術として,仮想型ハードウエアやネットワーク・リソースを基盤とするデジタル・ビジネス・アーキテクチャ,インターネットを介して情報システムを製品やデバイスと連結する拡張型インターネット,研究開発の新しいビジネス・モデル,ソーシャル・コンピューティングを活用した製品開発などを挙げている。

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