米Microsoftと米RealNetworksは,独占禁止法違反訴訟の和解をはじめ,デジタル音楽分野に関する協力とオンライン・ゲーム配信に関する提携で合意に至ったことを,米国時間10月11日に明らかにした。Microsoft社は総額7億6100万ドルをRealNetworks社に支払う。

 RealNetworks社は,Microsoft社が独占的地位を乱用して市場競争を制限し,消費者の選択肢をせばめ,成長するデジタル・メディア市場の独占を図ったとして,2003年12月に独占禁止法違反で提訴(関連記事)。「Microsoft社は数年間にわたる略奪的行為によって,当社の収入と事業に大規模な損害を与えた。例えば,パソコン・メーカーが他社製メディア・プレーヤをインストールすることに制限を与え,WindowsユーザーにMicrosoft社製メディア・プレーヤの使用を強制した」と主張していた。

 今回の合意により,Microsoft社は和解金としてまず4億6000万ドルを現金で支払う。また,RealNetworks社に対し,Windows Mediaの重要技術への長期にわたるアクセスを許可するライセンスを与える。これにより,RealNetworks社は自社メディア・プレーヤの強化を図る。

 主な和解要件は以下の通り。

・両社は,Windows上で利用されるRealNetworks社の製品とサービスの機能および性能強化に関して協力する

・Microsoft社は,RealNetworks社がより安全で機能豊富なメディア・サービスを構築するための新たなWindowsメディア・インタフェースを開発し,ドキュメント化する

・Microsoft社は, ユーザーがRealNetworks社のソフトウエアに手軽にアクセスし,簡単に設定を行うための手段を提供する

・Microsoft社は次期Windows OS「Windows Vista」において,Realフォーマットのコンテンツ再生を望むユーザーのパソコンに再生ソフトウエアがインストールされていない場合,必要な再生ソフトウエアをダウンロードできるWebサイトにユーザーを誘導する機能を提供する

・両社は,Windows MediaとRealNetworks社のデジタル著作権管理システム「Helix Digital Rights Management」との相互操作性強化に取り組む

 デジタル音楽分野に関する提携では,Microsoft社のインターネット・サービス「MSN」のホームページや,「MSN Music」「MSN Search」「MSN Messenger」といったサービスで,RealNetworks社のオンライン音楽配信サービス「Rhapsody」との連携を図る。オンライン・ゲーム配信については,Microsoft社の「MSN Games」「Xbox Live Arcade for Xbox 360」を通じてRealNetworks社のゲームを提供する。

 Microsoft社は,デジタル音楽およびオンライン・ゲームにおけるRealNetworks社の開発支援として,3億100万ドルを出資する。また,今後18カ月にわたり,開発,配信,プロモーション活動のサポート・サービスを提供する。

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