写真1●100ドル・ラップトップのデザイン(MITの資料)
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写真2●折りたたんで持ち運べる(MITの資料)
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写真3●100ドル・ラップトップ・プロジェクトのホームページ
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写真4●使用方法。ノートのほかタブレットPCとしても使用できる(MITの資料)
写真4●使用方法。ノートのほかタブレットPCとしても使用できる(MITの資料)
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写真5●電子ブックとしての使用も可能(MITの資料)
写真5●電子ブックとしての使用も可能(MITの資料)
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写真6●ハンドルを回しての充電が可能(MITの資料)
写真6●ハンドルを回しての充電が可能(MITの資料)
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 MIT Media Lab(マサチューセッツ工科大学メディア・ラボ)は,発展途上国の子供1人ひとりに価格100ドルのLinuxノート・パソコンを提供する活動に取り組む非営利団体「One Laptop per Child(OLPC)」を設立した。MIT Media Labが,9月に公開した活動に関するFAQのなかで明らかにしたもの。

 この活動は,2005年1月にスイスで開催された世界経済フォーラムにおいて,MIT Media Lab所長兼共同設立者のNicholas Negroponte氏が発表していた。低価格パソコンを発展途上国の子供達に提供することの必要性について,同氏は「ノート・パソコンは世界に開いた窓であると同時に,考えるための道具でもある」と説明する。「すべての子供に,自分自身で操作して探求するという行為を通して“学ぶことを学ばせる”には,パソコンの提供は優れたやり方だ」(同氏)

 デスクトップ・パソコンよりも高価なノート・パソコンを選んだことについては,「子供達が(学校などだけでなく)夜には家に持ち帰って使えるモバイル性が重要」と指摘する。

 100ドル・ノート・パソコンは,OSにLinuxを採用し,カラー画面と無線LAN機能,USBポートを備え,携帯電話機の接続も行える。現時点の仕様では,動作周波数500MHzのプロセサと1Gバイトのメモリーを搭載する。手回し発電機能などの利用も検討している。「大量データの保存に対応していないくらいで,できることは1000ドルのノート・パソコンと大差ない」(MIT Media Lab)

 低価格化を実現する工夫の1つとして,廉価版DVDプレーヤなどに使われる液晶画面(LCD)の採用が挙げられる。このLCDはカラー表示のほか白黒表示も可能で,直射日光のもとでも使用できる。部品コストは約35ドルで済むという。さらに添付ソフトウエア数の削減と,数100万台規模の大量生産,各国の教育省への直接販売により,価格を抑える。

 独自開発のPtoP型メッシュ・ネットワークを構築する機能により,各パソコンが互いに通信できるようにする。インターネット接続を極めて低価格で実現する方法の研究も進める。

 当初,中国,ブラジル,タイ,エジプトを対象とし,試験運用では対象国をいくつか追加する。2006年末から2007年初頭に出荷を始め,少なくとも100万台の受注を目指す。その後,1億~2億台の提供を目標とする。活動には米AMD,米Brightstar,米Google,News社,米Red Hat,MITの2B1 Foundationが協力する。

 米メディアの報道(InfoWorld)によると,100ドル・ノート・パソコンの試作機は2005年11月に完成する予定という。

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[100ドル・ノート・パソコン活動のFAQ]