米マサチューセッツ州は,米Microsoftの「Office」に替わり,XML関連の標準化団体Organization for the Advancement of Structured Information Standards(OASIS)の仕様に対応したオフィス・スイートを導入する計画を最終決定した。同州が米国時間9月21日に,導入案新版「Enterprise Technical Reference Model(ETRM)v.3.5」の完成を明らかにしたもの。 

 ETRM v.3.5では,同州が表示および保存するデータ・フォーマットを定義した項目を,情報分野(Information Domain)に新たに盛り込んでいる。その他の分野および項目については「バージョン3.0といっさい変更はない」という。

 ETRM v.3.5は,OASISが今年5月に承認したOpen Document Format for Office Applications(OpenDocument)を,同州のオフィス文書向け標準に指定している。OpenDocumentは,ロイヤリティ・フリーの仕様で,テキスト,スプレッドシート,チャート,グラフィカル文書向けに,単一のXMLスキーマを用いる。HTML,SVG,XSL,SMIL,XLink,XForms,MathML,Dublin Coreといった既存の標準規格をサポートする。「OpenOffice.org」「StarOffice」「KOffice」のほか,米IBMの「Workplace」などが採用している。

 同州は,2007年1月1日を目標として,段階的な移行計画を進めることになる。「州政府機関の過半数がOfficeなどのプロプライエタリな文書フォーマットをサポートしたアプリケーションを使っているため,新しいオープン標準への移行作業は極めて大規模なものとなるだろう」(同州)

 ETRM v.3.5完成版は,同州のWWWサイトから入手可能。

 なお,ETRM v.3.5は,米Adobe Systemsが開発したPortable Document Format(PDF)を「オープンなフォーマット」として認めている。

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[ETRM v.3.5完成版]