米Sun Microsystemsが,動作周波数1.5GHzのデュアル・コア・プロセサ「UltraSPARC IV+」ベースの新型サーバー「Sun Fire V490」「同V890」「同E2900」「同E4900」「E6900」を米国時間9月20日に発表した。性能は「従来モデルに比べ最大5倍高く,米IBMや米Hewlett-Packard(HP)の製品を上回る」(Sun社)とする。

 対応OSは「Solaris 10 Operating System(OS)」。既存のUltraSPARCプロセサおよびSolaris OSとバイナリ・レベルの互換性を持つので,サーバー環境の移行が迅速かつ容易という。「サーバー・アップグレードに必要なコストはIBM社製システムの半額。POWER5プロセサとAIX OSベースのIBM社製サーバーよりも価格性能比に優れる」(sun社)

 新型サーバーの主なベンチマーク・テスト結果は以下の通り。

・Sun Fire E4900:
 Javaサーバー用ベンチマークのSPECjbb2005で最高の18万4418bopsを記録した

・Sun Fire E6900:
 Oracle9i DatabaseとOracleアプリケーション・クラスタ環境上のManugistics Fulfilmentで,IBM p5-590に比べ処理性能が32%,価格性能比が2.7倍高かった

・Sun Fire E2900:
 3万4000ユーザー環境を想定したベンチマークLotus Domino R6iNotesで,1分当たりのNotesMarkトランザクション数(N-Mark)2万8268回という最高記録を出した。IBM i5-570と比べ,1ユーザー当たりの価格は半分で,処理性能は19%上回った

・Sun Fire V890:
 Lotus Domino R6iNotesで,IBM p5-570よりも価格性能比が18%高く,処理性能が49%高かった

 新型サーバーは8月より出荷を行っており,直ちに利用可能とする。価格は3万995ドルから。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,各サーバーの価格は,4ウエイ/8Gバイト・メモリー構成時のV490が約3万1000ドル,24ウエイ/96Gバイト・メモリー構成時のE6900が110万ドル。Sun社は36ウエイの「Sun Fire E1500」と72ウエイの「同E2500」を「近い将来リリースする」としている。1.8GHz版UltraSPARC IV+の提供は早くとも2006年前半の予定という。

 またSun社はマサチューセッツ州ボストンで開催中(9月19~22)のカンファレンス2005 Voice on the Net(VON)で,マルチ・コア・プロセサAMD Opteronベースの通信業界向け新型ブレード・サーバー「Netra ATCA」をデモンストレーションした。OSはSolaris 10を使った。

 VONにおいて,同社はNetra ATCAとUltraSPARCプロセサ・ベースのブレード・サーバー上でSolaris OSを動かし,NTTコムウェア製SIPアプリケーション・サーバーのデモンストレーションも行う。両ブレード・サーバーは米MontaVista Softwareのキャリア・グレードLinux「MontaVista Carrier Grade Edition(CGE)」に対応する予定で,現在MontaVista社が最適化作業を進めている。

 UltraSPARCプロセサ・ベースのブレード・サーバーは2005年末に,Opteronベースのブレード・サーバーは2006年第1四半期末に提供する。

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[発表資料(概要)]
[発表資料(UltraSPARC IV+ベースの新型サーバー)]
[発表資料(Opteronベースのブレード・サーバーなど)]