米Microsoftが米国時間9月15日に,2007年に利用可能とする予定の次期サーバー向けOS「Windows Server“Longhorn”」(開発コード名)について,新たに搭載する機能やアプリケーション・プログラミング・モデル「WinFX」の概要を紹介した。
Windows Server開発で最も重要なポイントとして,Microsoft社Windows Server部門担当上級副社長のBob Muglia氏はセキュリティと信頼性を挙げる。具体的な取り組みには,(1)導入時の安全性確保,(2)ホットプラグ対応サブシステムと自己修復機能付きファイル・システム,(3)NTFSファイル・システムとレジストリのロールバック機能がある。概要は以下の通り。
・導入時の安全性確保:
Windows Server“Longhorn”は,導入時にセキュリティ・アップデートの有無を確認し,インストールとパッチ適用を同時に行う
・ホットプラグ対応サブシステムと自己修復機能付きファイル・システム:
ハード・ディスク装置上に不良セクタが生じたり,プロセサに障害が起きたりした場合でも,システムを稼働させたまま修復できる
・NTFSファイル・システムとレジストリのロールバック機能:
トランザクション機能をNTFSファイル・システムとレジストリに付加し,システム障害発生時には正常動作していた時点の状態に戻せるようにする
そのほかのセキュリティ関連機能としては,シングル・サインオンなど認証集中管理に向けた新機能を,Active DirectoryとActive Directory Federation Services(ADFS)に導入する。ADFSにより,認証情報を共有するWebアプリケーションの構築が容易になるという。Active Directoryには,認証/許可を統合する新サービスSecurity Token Service(STS)を追加する。
WinFXは,同社がカリフォルニア州ロサンゼルスで開催中の開発者向け会議Microsoft Professional Developers Conference(PDC)2005で配布した,クライアント向けWindows OSの次期版「Windows Vista」のコミュニティ技術プレビュー版(CTP:Community Technology Preview)で対応している。WinFXを利用すると,ユーザー識別やアプリケーション・アクセスにかかわる複雑な問題の多くを解消できるという。「たとえば,識別やアクセスといった処理を行う際に,複雑なセキュリティ・コードを書く必要がなくなる」(同社)
今後のWindows Server系OSと関連技術の提供予定は以下の通り。
・Windows Server 2003 R2:
2005年中に提供を開始する。ADFSの初版を搭載する予定
・WinFXとInfoCard:
WinFXとスマート・クライアント技術InfoCardは,Windows Vistaと合わせて提供する
・STSなどのActive Directory向け新機能:
Windows Server“Longhorn”製品版リリースまでの過程で順次提供する
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