米Hewlett-Packard(HP)が,パソコン内のデジタル・コンテンツにアクセス可能な高精細テレビ(HDTV)の試作機や,新型のメディア・センター・パソコン「HP Digital Entertainment Center(DEC)」,HDTV対応のマイクロ・ディスプレイ(MD)TV/プラズマTV/液晶ディスプレイ(LCD)TVを米国時間9月9日に発表した。

 HP社はHDTVの試作機を,Custom Electronics Design and Installation Association(CEDIA)の展示会でデモンストレーションした。2006年夏ごろ製品を利用可能とする予定。家庭内のメディア・センター・パソコンと有線および無線ネットワークで通信し,パソコンに保存されている映像や写真,音楽といったデジタル・コンテンツを直接アクセスできる。インターネット上の各種マルチメディア・サービスにも対応している。

 新型HP DECは,「HP z555」「同z557」の2機種を用意する。米国のデジタル・テレビ放送規格ATSCに対応したHDTVチューナ1つと,標準解像度のNTSC用チューナ2つを内蔵する。各チューナは独立しており,同時に番組の視聴や録画が行える。

 グラフィックスカードはPCI-Express対応のNvidia GeForce 6600。ハード・ディスク装置は,z555が記憶容量250Gバイト,回転速度7200rpmのSerial ATA(SATA)対応品を1台搭載する。z557は300Gバイト品を2台備える。いずれも既に出荷を開始しており,北米,スウェーデン,フランスで販売する。

 そのほかの製品の概要は以下の通り。

・HDTV対応MDTV:
 Digital Light Processing(DLP)採用のHDTV「MD5020N」(50インチ型),「MD5880N」(58インチ型),「MD6580N」(65インチ型)の3機種を出荷する。MD5880NとMD6580Nは1080p(1920×1080ピクセルのインターレース・スキャン)表示が可能で,いわゆるリアルHDTV対応。デジタル・ケーブル・テレビ用のCableCARDスロットを備える。MD5020Nは720p(1280×720ピクセルのプログレッシブ・スキャン)のみ表示可能。MD5880Nは720pにも対応している。3機種ともATSCチューナを内蔵する。米国とカナダで10月に利用可能とする

・HDTV対応プラズマTV:
 「PL4200N」(42インチ型)と「PL5000N」(50インチ型)を出荷する。最大80億色,2048階調の表示が可能。CableCARDスロットを持ち,スピーカ6個を内蔵する。米国とカナダで9月中に販売を始める

・HDTV対応LCD TV:
 「LC2600N」(26インチ型),「LC3200N」(32インチ型),「LC3700N」(37インチ型)を出荷する。LCDの表示コントラストは4000:1あり,濃厚な色と深い黒が特徴という。CableCARDスロットのほか,HDMI,DVI,i-Linkなどのインタフェースを備える。米国とカナダで9月中に販売を開始する

◎関連記事
米HPの新デジタル・エンタテインメント戦略,新製品や松下とのDVDフォーマット連携などを発表
「2005年Q2の世界TV市場は173億ドル規模,液晶やプラズマが好調」,米調査
「世界TFT LCD市場は年内に供給過剰気味に,来年はさらに供給が拡大」,米調査
「2005年下半期,米国消費者の約4割が平均3つのデジタル電子機器を購入予定」,米調査
「HDTV市場,消費者の人気は大型・薄型製品に集中」,米NPD Groupの調査
2005年Q1の大型LCD TV出荷台数は前年同期比125%増,価格低下が成長に拍車
「HDTV視聴家庭,2009年末には世界で5200万世帯に」,米調査
「2004年Q4の背面投影型テレビの出荷台数は前期比26%増,ソニーがトップ」,米調査

[発表資料へ]