米Googleは,TCP/IP仕様を開発するなどインターネットの基盤構築にかかわったVinton(Vint)Cerf氏を,同社のチーフ・インターネット・エバンジェリストとして指名した。Google社が米国時間9月8日に明らかにしたもの。

 Cerf氏について,Google社CEOのEric Schmidt氏は「間違いなく現代における最高クラスの技術的指導者の1人」と形容する。インターネットの前身であるARPANETの開発時にBob Kahn氏らとTCP/IP標準の作成を行い,“インターネットの父”と呼ばれている。

 スタンフォード大学からカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)を経て,ARPANETプロジェクトにかかわった。1982年に米MCI(当時の社名はWorldCom)に入社し,現在チーフ・インターネット・ストラテジスト(米メディアinternetnews.comの報道)である。2004年にはRobert E. Kahn氏とともに,米国計算機学会(ACM:Association for Computing Machinery)から“コンピュータ科学分野のノーベル賞”であるA.M. Turing Award(チューリング賞)を受賞した。

 さらに,インターネットを太陽系内の惑星間通信にも広げようとする米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(JPL)の研究計画「Interplanetary Network」に参加している。

 なお,ドメイン名やIPアドレスの管理を行っている非営利組織Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)の会長職は,Google社入社後も継続する。

 「Google社には10月3日にチーフ・インターネット・エバンジェリストとして参加する(“大公”という肩書を望んだが駄目だった)。(経営陣の)Eric,Larry,Sergey,それに“Googleファミリ”全体の何がそんなに好きかというと,共同体であることと,極めて実際的であること,限りない創造性を持っていることだ。それでは“ネット”で会おう!」(Cerf氏)

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[Google社の発表資料]
[Cerf氏によるブログへの投稿]