米IBM,東芝,ソニー,ソニー・コンピュータ エンタテインメント(SCEI)は,次世代コンピュータ/デジタル家電向けマイクロプロセサ「Cell」に関する技術仕様「Cell Broadband Engine Architecture」を公開する。4社が米国時間8月25日に明らかにしたもの。仕様書はWebサイト(IBM社SCEI)で入手できる。

 Cellは,IBM社の64ビットPowerプロセサ・コアをベースとする新型プロセサ。IBM社,東芝,ソニーが2001年に開発計画を発表し,テキサス州オースチンに設立した共同研究所で設計/開発を進めていた。コアを複数内蔵し,浮動小数点演算の処理性能が高いという。さまざまなOSに対応しており,Linuxなど従来タイプのOSのほか,ゲーム機や家電向けのリアルタイムOSも利用できる。仮想マシン環境を構築してゲストOSを動作させれば,複数OSの同時実行も可能。

 Cell Broadband Engine Architectureは,Cellにおける分散処理やマルチメディア・アプリケーション向けのプロセサ構造を定義する仕様書。Power Architectureベースの制御プロセサを含むアーキテクチャについて記述している。

 さらに4社は,「Synergistic Processor Unit Instruction Set Architecture(SPU ISA)」と「Synergistic Processor Unit C/C++ Language Extensions, Application Binary Interface, and Assembly Language specifications」という関連仕様書も公開する。両仕様書の概要は以下の通り。

・SPU ISA:
 Cell Broadband Engine Architecture上のシステムを対象とした,メディアおよびストリーミング・アプリケーションを高速化するSIMD RISCプロセサの技術情報

・Synergistic Processor Unit C/C++ Language Extensions, Application Binary Interface, and Assembly Language specifications:
 Cellプロセサ内にある8個の演算コアSPUを活用するための,C/C++言語やアセンブリ言語,アプリケーション・バイナリ・インタフェース(ABI)に関する技術情報

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