注目の書籍

好評発売中!

IT業界徹底研究就職ガイド2013年版

IT/ネット業界で働くと いうことを分かりやす く解説。2013年3月卒 業の学生向けの1冊。

selfup

北岡弘章の「知っておきたいIT法律入門」

ITpro

新会社法と合同会社(LLC)(1):有限会社をなくし法律を現状に近づける

2005/12/16
外部筆者

 これまで、会社に関する法律は「商法」に定められていました。2005年に商法が改正され、会社法(いわゆる新会社法)が成立。2006年5月に、施行が予定されています。

 今回から、新会社法の中でも、特に中小企業に関連する部分について数回に分けて説明していきます。まず、新会社法の全体像について簡単に説明したいと思います。

新会社法は株式会社と有限会社を1つにまとめる狙い

 既に大企業向けの会社法制については、商法の改正という形でかなりの改正がなされています。今回新会社法という形での改正の目的は、条文などをすっきりさせると同時に、口語化することにあります。

 その中で中小企業に関連するのは、株式会社と有限会社を一つの会社類型として統合することです。ちなみに有限会社は、会社法の施行と共に廃止されます。なお、既存の有限会社については、有限会社のままで継続することもできますし、株式会社になることもできます。この点については、このコラムで後日取り上げる予定です。

 これまでの日本では、中小企業でも株式会社が"主流"でした。企業の実体からすると、有限会社という組織形態が適しているにもかかわらず、です。これは、「株式会社の方が、より信用力がありそうだ」と考える経営者が多いからでしょう。

 しかし、法規制としては、当然ながら株式会社の方が厳しく、機動性に欠けます。実際には株式会社化した中小企業では、法律違反が常態であるといえるでしょう。

 このような、企業の実態と法規制の乖離(かいり)を解消するという観点から、有限会社を株式会社に統合し、株式会社の中身を整理しているのです。これまでの有限会社型の会社組織から株式を公開している大会社までを、会社法という1つの法律に整理しているのは、こういう理由からです。

 実は会社法は、株式を公開していない中小株式会社、有限会社に相当する企業をデフォルトにして条文が作られています。その意味では、中小企業こそ、新会社法の動向に注目すべきであるということです。今回は、合同会社(日本版LLC)から解説します。

合同会社(LLC:Limited Liability Company)とは何か

 会社法には、株式会社以外に持分会社という類型の会社も認められています。持分会社には、合名会社、合資会社、合同会社(日本版LLC)の3種類があります。合名会社、合資会社は現行の商法でも認められている会社形態ですが、あまり活用されていません。

 今回、会社法で初めて採用されたのが「合同会社」(日本版LLC)です。LLCとは、Limited Liability Companyの略で、直訳すると「有限責任会社」という意味です。

表 3種類ある持ち分会社の違い
 合名会社合資会社合同会社(LLC)
構成員全員が無限責任社員無限責任社員と有限責任社員で構成有限責任社員のみで構成
業務執行各社員に原則として代表権・業務執行権あり。無限責任社員は合名会社の場合と同じ。有限責任社員は原則として代表権・業務執行権を持たない。原則として社員は業務執行権を持つ。
定款の定めまたは社員全員の同意により、一部の社員を業務執行社員として定めることができる。
出資財産の他に信用・労務の出資も可能。無限責任社員は財産の他に信用・労務の出資も可能。有限責任社員は財産出資のみ。財産出資のみ。

LLCは有限責任社員のみで構成

 持分会社の3種類の会社の違いは、表1を見ていただければ分かると思います。違いは、社員の責任の範囲です。

 有限責任とは、出資者が出資額までしか責任を負わないということで、株式会社や有限会社も同じです。

 無限責任の場合は、そのような限定はありません。合名会社の場合には、無限責任を負う社員だけで構成され、合同会社の場合は有限責任を負う社員だけで構成され、合資会社はその両方の社員で構成されます。また、無限責任社員については、出資が金銭だけに限定されず、信用・労務による出資が認められるという違いもあります。

 これまでも、合名・合資会社はあまり利用されませんでしたが、今後もあえて利用するメリットがあるとは思えません。合名・合資会社と同様のメリットを享受しつつ、責任は有限責任とされる合同会社が認められたからです。

 それでは、合同会社と株式会社は、どのようなところが大きく違うのでしょうか。次回はこの点について解説します。


→「SMBのための法律入門」の記事一覧へ

■北岡 弘章 (きたおか ひろあき)

【略歴】
 弁護士・弁理士。同志社大学法学部卒業、1997年弁護士登録、2004年弁理士登録。大阪弁護士会所属。企業法務、特にIT・知的財産権といった情報法に関連する業務を行う。最近では個人情報保護、プライバシーマーク取得のためのコンサルティング、営業秘密管理に関連する相談業務や、産学連携、技術系ベンチャーの支援も行っている。
 2001〜2002年、堺市情報システムセキュリティ懇話会委員、2002年から現在まで、発明協会産学連携経営等支援事業に係る専門家、情報ネットワーク法学会情報法研究部会「個人情報保護法研究会」所属。

【著書】
 「漏洩事件Q&Aに学ぶ 個人情報保護と対策 改訂版」(日経BP社)、「人事部のための個人情報保護法」共著(労務行政研究所)、「SEのための法律入門」(日経BP社)など。

【ホームページ】
 事務所のホームページ(http://www.ne.jp/asahi/lawyer/kitaoka/)の他に、ブログの「情報法考現学」(http://kitaoka-lawoffice.cocolog-nifty.com/)も執筆中。

この記事に対するfacebookコメント

nikkeibpITpro

読みましたか? 〜 未読記事をご紹介