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有限責任事業組合(日本版LLP)(2):ITベンチャーが大手企業と共同研究開発を行うケースを想定するそれでは、もう少し具体的に、技術やノウハウを持つSMB(ベンチャー企業)が大手企業と共同研究開発を行う場合を想定して、利益や権限の配分が出資金額の比率に拘束されないということが、具体的にどのような意味をもつのかを見てみましょう。
メリット1:出資比率と配当比率は同一でなくてもよい株式会社の場合、図1のようにA社80%、B社20%の比率で出資した場合、原則として議決権比率も配当比率も出資比率と同じA社80%、B社20%となります。
このような場合に、例えば配当比率を対等にし、議決権をA社60%、B社40%といったように、出資比率と切り離して柔軟な取り決めをすることが可能になります。これがLLPを採用する1つめのメリットです。
なお、種類株式というのは、株主は保有する株数に応じて同一の権利内容を持つのが原則ですが、この株主平等原則の例外として商法で定められた権利内容の異なる株式のことをいいます。利益・利息の配当や株主総会で議決権を行使できる事項などについて、権利内容を異なるものにすることができます。
メリット2:赤字分は親会社の所得と通算できる次に、構成員課税(パススルー課税)が適用される点は、どのようなメリットがあるのでしょうか。 株式会社の場合、A社とB社の共同設立会社C社に黒字が発生した場合、C社に法人税が課税された上に、親会社であるA社、B社への配当にも課税されます。他方赤字になった場合でも、親会社の所得と通算することはできません。つまり、赤字分を親会社の所得から差し引いて、納税額を減らすことはできないのです。 これに対してLLPの場合は、黒字の場合でもLLPには課税されず、A社、B社への利益配分時のみ課税されます(これを構成員課税=パススルー課税と呼びます)。LLPが赤字の場合は、出資者であるA社、B社の所得と通算できます。この場合、A社とB社の納税額は減るわけです。 共同研究開発の場合、赤字が先行することが通常でしょうから、出資者が赤字分を経費として処理できることは大きなメリットといえます。ただし、各出資者が経費として各年度に計上できる金額には上限があり、出資額までとされている点については注意が必要です。 なお、個人の場合は、算入できなかった損失を翌年に繰り越すことができませんが、法人の場合には繰り越すことが可能となっています(個人:租税特別措置法27条の2第1項、法人:租税特別措置法67条の13)。
メリット3:「co.jp」ドメインが取得できるさらに、これまで法人にしか認められていなかった、「co.jp」ドメインが、LLPで利用可能になりました。 なお、LLPの活用が想定されているケースはは、これ以外にもあります。中小企業同士の新規事業連携、産学連携、専門人材による共同事業、大企業同士の共同研究開発などが考えられています。想定例については、経済産業省の公表資料 を参照してください。
デメリット1:従来の(民法上の)組合よりも義務が増えるLLPは「株式会社と民法組合のいいとこ取りの新制度」などと宣伝されることもあります。いいところばかりのように思われますが、そうではありません。 まず、有限責任制を採用した結果、債権者保護の必要性が出てきます。それで、財務諸表を作成して組合債権者に閲覧させなければならないなど、民法上の組合よりも義務が増える部分も当然あります。
デメリット2:法人格のある会社への組織変更はダメまたLLPは、法人格のある会社形態への組織変更は認められていません。従って、株式公開を目指すようなベンチャー企業には、あまりメリットのある組織形態ではありません。 LLPを株式会社に変更するには、LLPを一度解散させた上で、新たに会社を設立する必要があります。最初にLLPにするかそれ以外の会社形態をとるのか、十分考慮して判断を下す必要があります。 LLPに限らず、会社法改正で使う側(設立者)の自由度は非常に高まりました。しかし、どの組織形態を選ぶにしろメリットとデメリットがあります。その見極めは、慎重に行う必要があるでしょう。
◆関連リンク◆ 経済産業省:「有限責任事業組合(LLP)制度の創設について」(http://www.meti.go.jp/policy/economic_oganization/llp_seido.html)
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