|
|
【新連載】有限責任事業組合(日本版LLP)(1):中堅中小企業にも利用価値のある制度最近、日本版LLPとか、有限責任事業組合という言葉を目にすることが多くなったのではないでしょうか。2005年に商法が改正され、会社法(いわゆる新会社法)が成立しました。 意外に思われるかもしれませんが、これまで日本には「会社法」という法律はなかったのです。会社法に相当する内容は、商法に定められています。 新会社法については、次回以降に詳しく解説したいと思います。新会社法を含めた新しい企業法制の特徴の1つは、事業を行う場合のスキームの多様化を進めていることにあります。有限責任事業組合というのも、スキームの多様化の1つといえるでしょう。
他社との共同事業などに有効なLLP有限責任事業組合(以下、「LLP」といいます)は、商法や会社法ではなく、「有限責任事業組合契約に関する法律」に根拠をおくものです。既に今年8月1日から施行されています。なお新会社法は、2006年5月施行予定です。 ちなみに、「投資事業有限責任組合」というよく似た制度がありますが、これはファンドを作るための組合で、想定される利用形態が異なります。LLPでは、すべての組合員が事業に参加する必要があり、投資目的のみでの参加はできません。 LLPといっても、これから起業する人の問題で、すでに会社を設立して企業経営を行っている人には関係ないと思われるかもしれません。しかし、LLPはこれから起業を考えている人だけを念頭においた組織ではありません。 中小企業においても、その企業単独で生き残っていくのは難しくなっており、シーズを出し合ってジョイントベンチャーを立ち上げるといったことも増えてきているのではないでしょうか。そのような場合、LLPは有力な選択肢の一つです。 有限責任事業組合という制度は、次の3つの特徴があります。
1:出資者全員の有限責任出資者全員の有限責任とは、出資者が出資額までしか責任を負わないということです。株式会社や有限会社と同じです。有限責任事業組合というのは、名前から分かるように「組合」です。 組合というのは、民法の条文に定められている契約類型の一つで、民法を根拠にしている組合を一般に民法上の組合と呼びます。これまでの民法上の組合であれば、無限責任を負っていたのに対して、出資者の責任が限定されており、より出資がしやすい=リスクが出資金額に限定される、ということになります。
2:内部自治の徹底内部自治の徹底というのは、ちょっと分かりにくいかと思います。株式会社では、取締役会や監査役のような、経営者に対する監視機関の設置が強制されます。従って小規模な組織の場合、決定の迅速性が損なわれるなどのデメリットも大きくなります。 LLCの場合は、機関設置が強制されず、当事者の合意により、柔軟かつ機敏な対応ができるということです。また株式会社と異なり、利益や権限の配分が出資金額の比率に拘束されないこともメリットといえます(第2回で説明します)。
3:構成員課税の適用構成員課税の適用というのは、当該LLPに課税されずに、出資者に直接課税されるということです。つまり、LLPに法人課税が課せられた上に、出資者への利益分配にも課税される、という"二重課税"がないのです。これを「パススルー」と言います。 これらの特徴からも分かるように、単純に言うと会社と民法上の組合の中間的な形態と言えます(下表)。 では次回は、もう少し具体的に、SMBが大手企業と共同研究開発を行う場合を想定して、利益や権限の配分が出資金額の比率に拘束されないということが、具体的にどのような意味を持つか見てみたいと思います。
◆関連リンク◆ 経済産業省:「有限責任事業組合(LLP)制度の創設について」(http://www.meti.go.jp/policy/economic_oganization/llp_seido.html)
連載新着連載目次へ >>
|
読みましたか? 〜 未読記事をご紹介 |