米Gartnerが現地時間2011年6月8日にまとめた世界パソコン市場の展望によると、2011年の出荷台数は3億8500万台で、前年比9.3%増加する見込み。同社はこれまで2011年の出荷見通しを前年比10.5%増と予測していたが、これを下方修正した。

 日本のパソコン市場については、3月の東日本大震災震災発生により2011年の出荷台数予測を前年比2.4%増に引き下げた。しかしパソコンベンダーはこれまでのところ日本製部品の供給不足にうまく対応しており、世界市場の出荷拡大に与える影響は小さいと、Gartnerは見ている。

 過去10年間、パソコン出荷はほとんど消費者市場がけん引してきたが、今後18カ月は消費者向け出荷が伸び悩み、企業の買い換え需要に頼らざるを得ない状況になっている。成熟市場では消費者が依然支出を引き締めており、パソコンを買い替える積極的な理由もない。

 ネットブックへの関心が急速に冷え込み、消費者向けノートパソコンが勢いを失っていることも大きい。米Appleの「iPad」に代表されるタブレット端末は「古いノートパソコンを置き換えるというよりは、新規のノートパソコン購入を先延ばしさせる要因になっている」とGartner調査ディレクタのRanjit Atwal氏は分析している。

 世界パソコン市場に関しては、米IDCも6月6日に2011年の見通しを下方修正している。同社は2月の時点で2011年のパソコン出荷台数を前年比7.1%増と予測していたが、これを4.2%増に引き下げた(関連記事:2011年の世界パソコン市場、IDCが出荷台数見通しを下方修正)。

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