矢野経済研究所は2011年5月13日、国内のビジネス向けライブ映像配信サービス市場が今後10年間で1000倍以上に拡大し、2020年度に7442億円になるとの予測を発表した。とくに「広告・宣伝・プロモーション」が中心で、全体の6割を占めるまでに成長するという。

 2010年度はUstreamが注目され、その後一般ユーザーに普及。市場規模は6億4000万円(見込み)になったと試算している。さらに2011年には、テレビ放送キー局が東日本大震災時に情報番組をライブ映像配信。UstreamやJStream、ニコニコ生放送などを利用した配信サービスもビジネス分野で普及しつつある。

 一方で、企業や自治体がライブ映像配信の導入を始め、ビジネス需要の創出が始まっている。背景には、広告宣伝費(販売促進費)の費用対効果見直しがあるという。今後、企業広告の予算は、不況や東日本大震災の影響を受けて削減される可能性が高く、より低コストでダイレクトに情報配信できる新メディアとして、ライブ映像配信は既存メディアと併用されていくと予測している。

 分野別では、「広告・宣伝・プロモーション」が今後10年間の急激な市場成長の中心となり、2020年度には全体の約62%に当たる4640億円規模に拡大。ほかに、「企業内コミュニケーション」が1035億円、「営業・マーケティング支援」が712億円、「人事・人材採用」が478億円などに成長すると予測している。

 対象は、Ustream、ニコニコ生放送、JStream、Stickamなど、また従来のネットワークカメラなどのプラットフォームを利用したライブビデオストリーミング。プラットフォームベンダー、サービスプロバイダー、ネットワークカメラベンダーと、サービス導入先の民間企業、団体、公的機関などにヒアリングしてまとめた。調査期間は2010年11月~2011年4月。