「iPad」などタブレット端末の普及が要因で、消費者向けパソコンの販売不振が続いていると言われるが、それは事実ではない――。米国の市場調査会社NPD Groupが現地時間2011年5月10日にこのような内容の調査報告を公表した。

 ここ最近、他の調査会社からは、「iPad」などタブレット端末の普及が要因で、消費者のパソコン購買意欲が低下したとする報告が出されている(関連記事:Gartnerが世界PC出荷予測を下方修正、タブレット台頭が要因)。しかしNPDによれば、それは事実とは異なる。

 NPDによると、2010年4月に販売が始まってから同年9月末までの半年間にiPadを購入した早期ユーザーのうち、「パソコンの購入を控えた」という人はわずか14%。この割合は、同年のホリデーシーズン(11月後半からの年末商戦)にiPadを購入した人ではさらに12%と低い。またごく最近にiPadを購入した人で、「ネットブックの購入を控えた」という人は、同製品の早期ユーザーよりも50%少ないという。

 こうしたデータを基に、「タブレットが低価格パソコンの販売を減速させたとするのは、明らかに間違った見解だ」とNPDアナリストのStephen Baker氏は述べている。同氏によると、2009年の「Windows 7」リリース以降、パソコンメーカー各社が大量にパソコンを販売してきたため、その反動が表れているのが本当の理由だという。同氏は米メディア(Computerworld)のインタビューに応じて、「多くの消費者は過去1年~1年半の間にパソコンを購入しており、今のところ新たなマシンを必要としていない」とも述べている。

 価格が500ドルを超えるノートパソコンの販売が、2011年3月末までの半年間で25%減少しており、これがパソコン市場全体に大きな影響を及ぼしている。一方、同期間に500ドル以下のノートパソコンは21%伸び、市場のけん引役になっているという。

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