米Gartnerは現地時間2011年3月30日、2011年の世界IT支出の前年比を、従来の予測値5.1%増から5.6%増に上方修正した。支出額総額は2010年の3兆4000億ドルから、3兆6000億ドルへと増える見込み。

 上方修正要因は、コンピューティングハードウエア分野に、2011年第1四半期から米Appleの「iPad」などタブレット端末の支出額を追加したため。これに伴って同分野の支出伸び率を従来の予想値7.5%から9.5%に引き上げている。

 また、世界におけるタブレット端末の2011年の支出額は、2010年の96億ドルから294億ドルへ、およそ3倍になるという。タブレットは2015年まで年平均52%の成長率で伸びていくとしている。

 GartnerリサーチバイスプレジデントのRichard Gordon氏は、「日本の震災によるIT市場への影響はまだ完全に把握できておらず、中東の政情不安という要素もあるものの、2011年は安定的な成長で推移するだろう」と述べている。

 Gordon氏によると、同社がこのレポートを仕上げているさなかに東日本大震災が発生した。そのためこの震災が電子部品のサプライチェーンと、IT需要に及ぼす影響については、まだ評価中だ。

 ただし、英Financial Timesによると、同氏は「日本市場は、第2四半期と第3四半期で支出鈍化が予想されるものの、年末に向けて持ち直す」と述べている。

 また、世界のIT支出総額に占める中東の割合は2%に過ぎないという。東日本大震災による部品供給の問題についても、4月と5月に一時的な部品不足が生じるが、現時点ではメーカーの在庫状況にいくぶん柔軟性があり、影響は限定的だとしている。

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