米DisplaySearchは米国時間2011年3月14日、東日本大震災がTFT液晶ディスプレイ(TFT LCD)市場に与える影響について、「サプライチェーンのダメージは限定的だが、精神的なダメージの方が問題だ」とする見解を明らかにした。

 DisplaySearchが収集した情報によると、日本の一部TFT LCDメーカーの製造工場が東北や関東にあるが、これらは損害をうけていない。製造調整のために生産を中断する可能性は高いが、中小サイズのパネルを手がけるこれら工場のシェアは業界全体では小さいため、TFT LCD市場に大きな影響はないと、DisplaySearchは判断する。

 市場で大きなシェアを持つシャープやパナソニックなどの工場は関西にあるため、今回の地震の被害を受けていない。主要な部品メーカーも、ほとんど工場を西日本に置いている。深刻な被災地で一部の部品工場が損害を受けたが、メーカーの在庫状況や生産サイクルなどから、サプライチェーンへの影響は限定的と見られる。

 DisplaySearchは日本のテレビ販売が急速に落ち込むと予測しているが、これはエコポイント制度の実施で2010年第4四半期および2010年全体が好調だったことに基づいたものであり、TFT LCD業界としては、サプライチェーンに多きな損害が生じる様子はないという。

 しかし、震災から生じる不安と不確実な見通しによって消費者心理と企業景況感が弱まり、原油価格の懸念とあいまって、より大きな精神的ダメージを受ける可能性があると、DisplaySearchは指摘している。

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