2009年から2010年にかけて、最も多くの企業に導入されたのがテレビ会議システムである。新型インフルエンザの流行を受けたパンデミック対策や、出張旅費の削減といった社会情勢が導入を後押しした。導入率は55.1%に達し、着実に企業ネットに不可欠な機能として浸透しつつある。
テレビ会議システムで最も多く導入されているのは標準テレビ画質の専用端末で40.9%のシェアがある。続くのはパソコンで利用するWebベースのシステムで29.8%。会議サーバーも含めれば数百万円クラスになるHD(ハイビジョン画質)パネルを使った会議システムは、14.4%だった(図1)。
企業でテレビ会議システムの普及ペースが伸びているのは、単純に出張旅費を節約できるだけにとどまらないメリットがあるからだ。マブチモーターでは、本社内にHDモニターを設置した専用会議室を4室構築。「月間80回以上、毎日平均4回は海外拠点と会議している」(戸内振一郎情報システム室長)。当初は役員会議を想定していたが、想定以上に利用回数が伸びた。
例えば、一般社員が使う会議では、資料共有機能の利便性の評判が高い。CAD図面を画面の一部に映しても細かな部分が判別できたり、クレームで返品された部品の現物を、海外の生産拠点側のスタッフにも見せて対策を検討できるという。
また会議以外の用途としては、工場内にカメラを移動させ、生産ラインが意図した通り構築されているか、正しく使われているかなど作業の様子の確認に使おうと試行している。
式典や表彰式など社内イベントの際にはサテライト会場を設営して、社員の移動時間を無くすといった効率化にも役立てている。導入費用に関しては、「本社の社員の出張回数が年間で約800回から約400回に半減した。1回にかかる交通費を考えれば、システム導入費用は1年かからずに回収できた」(戸内室長)