米Gartnerが米国時間2010年11月29日に発表した世界パソコン市場調査によると、2010年の出荷台数は3億5240万台となり、前年に比べ14.3%増にとどまる見通し。同社が9月にまとめた調査では、出荷台数の伸び率を17.9%としていた。また2011年の出荷台数についても4億900万台(前年比15.9%増)とし、先の予測値(同18.1%増)から下方修正した。

 消費者需要の低迷から短期の出荷台数見通しが著しく減少するためで、米Appleの「iPad」などのメディア消費型タブレット端末の影響も小さくないとしている。長期的に見ると、こうしたタブレットは2014年までに世界のパソコン出荷台数を10%減少させる影響力を持つと同社は予測している。

 「パソコンは依然として必需品ではあるが、著しい技術革新を実現できないことと、価格低減によって販売台数を伸ばすといったビジネスモデルへの過度の依存が需要を喚起できない要因」とリサーチディレクターのGeorge Shiffler氏は話している。また景気低迷が続く中、家庭用のモバイルパソコンの出荷が急速に落ち込んでいる。この傾向は米国や西欧などの成熟市場で顕著。さらに消費者がメディアタブレットに関心を寄せているため、一時的にパソコンの購入を控えている。

 新興国市場は今後も成長を続け、出荷台数は2011年末までに世界全体の半数以上に増える見通し。ただし新興国市場では、初めて購入するマシンにタブレットなどのPC代替機を購入する可能性もあると同社は指摘している。また長期的に見ると2013年ごろには、仮想デスクトップ環境をデータセンターなどで集中管理する「ホスト型仮想デスクトップ(HVD)」が企業市場に浸透し始める。そうした企業はシンクライアントや整備再生したパソコンを購入するため、デスクトップパソコンの出荷台数を減少させる要因になるとしている。

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