パナソニック

より高性能で長時間駆動---独自設計で要望に応える

 パナソニックは、ビジネス用途での利用を想定したLet’s noteを開発する上で「軽量」「長時間駆動」「堅牢性」の3項目に重きを置いてきた。その上で「ユーザーの要望や困っていることを聞き、製品に反映する」(AVCネットワークス社システム事業グループITプロダクツビジネスユニットテクノロジーセンター坂田厚志主幹技師)ことを心掛けている。

写真1●ユーザー会議で要望を聞く
写真1●ユーザー会議で要望を聞く
企業ユーザーの要望を聞く「PCコンファレンス」を年に2回開催する。設計/製造/品質管理/営業の担当者がユーザーから直接要望をヒアリングしている。

 ユーザーの意見を取り入れるための大きな機会となっているのは、同社が年に2回開催している「PCコンファレンス」(写真1)。40~50社の企業ユーザーを神戸工場などに招き、製品の説明をすると同時に、ユーザーの生の声を聞く。業種ごと、あるいは利用している機種ごとに複数のグループに分かれてもらい、パナソニックの設計/製造/品質管理/営業の担当者が、改善するべきポイントをヒアリングするのだ。

 ここ数年で高まっていた要望は(1)さらなる性能の向上、(2)一日中使えるバッテリー駆動時間、(3)本体の厚みを減らすこと---の3点だった。

あらゆる部品は純日本製

 これらを改善するために、一般的なノートパソコンで使われている低電圧版ではなく、性能の高い通常電圧版のCPUを採用。バッテリーは従来の6セルから8セルに増やし、13時間駆動(現行モデル)を実現した(図1)。セルが増える分、バッテリーのサイズが大きくなり、重量も増えた。その分は小型の空冷ファンを採用して基板を省スペース化、自社設計した光学ドライブを搭載するなどの工夫で総重量の増加を極力抑えた。さらにLEDバックライトの採用で、本体の厚みを減らした。

図1●ユーザーの要望を取り入れてパソコンの細部を独自設計
図1●ユーザーの要望を取り入れてパソコンの細部を独自設計
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 基板、各種の部品、ボディーなどは自社で設計・開発し、神戸工場で組み立てる純日本製の製品である。実際のところ他社と比べて実勢価格は高いが「Let's noteをユーザーの生産性向上に役立ててほしいと考えれば、細かい部分まで含め、自社内で設計しなければならない」(坂田主幹技師)という方針は崩さない。

 ビジネスの現場でユーザーの要望はさらに拡大しつつある。今後はタブレット型に変形するCシリーズなど、新たな分野にも従来機種で培った技術を拡大していく。