これまで4回にわたってソーシャルメディア分析の概要や、主要プラットフォームとその利用者の属性や特徴を取り上げて比較を行った。こういった分析はなぜ重要なのだろうか。

 今回「ソーシャルメディア利用実態調査」を実施した背景には、企業のマーケティングにおいてソーシャルメディアの重要性が高まっているものの、ソーシャルメディア全般を俯瞰(ふかん)した基礎的なデータが見当たらない状況がある。ソーシャルメディアを活用したマーケティングの事例紹介やセミナーは盛り上がっているが、その対象はTwitterに偏重しており、数値的検証は抜きにTwitterだけがもてはやされる恐れがあった。

横断的な調査で見えるプラットフォームの評価

 今回横断的な調査を行ったことで、ソーシャルメディアの利用者が各プラットフォームをどのような位置付けに置いて接しているかが浮き彫りになった。例えば、利用者が「満足している点」について、プラットフォームを「情報収集」寄りか「ひまつぶし」寄りかで分類すると、SNSとして並び称されるmixi、モバゲータウン、GREEの間でもポジショニングが大きく異なっていることが分かる(図5-1)。

図5-1●「興味・関心のある情報・知識が得られる」と「ひまつぶしになる」の評価
図5-1●「興味・関心のある情報・知識が得られる」と「ひまつぶしになる」の評価
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 また企業がソーシャルメディアをマーケティング用途で活用するためには、どういう人がどのプラットフォームにいるのかを知ることが肝要である。多くのユーザーに製品名などを広める働きを持つ「コーディネイター」や「クリエイター」は、ごく少数しかいない(図5-2)。「参加者」や「観察者」のような受動的な態度で接している人が大多数である。

図5-2●ソーシャルメディア利用者全体のオンライン・ソーシャルグラフィックモデル
図5-2●ソーシャルメディア利用者全体のオンライン・ソーシャルグラフィックモデル