前回取り上げたコミュニケーション型のプラットフォームに続き、今回はソーシャルメディアの中でも利用者の口コミを情報として提供するプラットフォーム(CGM:Consumer Generated Media)を取り上げる。商品比較サイトの価格.comと、料理・お菓子のレシピを提供するクックパッドだ。どちらもページビュー、ユニークユーザー数を堅調に伸ばしている、この分野のフロントランナーである。
閲覧中心のCGM、クックパッドは「参加者」比率が高め
まずは利用者の性年代別構成比を見てみよう(図3-1)。価格.comは男性利用者が6割弱を占め、年代別では50代、60代の利用率が比較的高い。比較的若い年代の利用率が高いコミュニケーション中心のプラットフォームとは逆の構成比となった。クックパッドの利用者は8割以上が女性で、特に育ち盛りの子供を持つ30代、40代の女性が中心的に利用している。
続いて、「オンライン行動属性」別の利用状況の構成比を見てみる(図3-2)。価格.com、クックパッドとも、自分から積極的に情報発信する「コーディネイター」「クリエイター」の比率が全体より低い。CGMは閲覧するだけでも利用価値があるからだろう。しかし、コメントはしつつも基本的には他人のやりとりを眺めている「参加者」や、単に見ているだけの「観察者」の比率においては、両者に違いが見られた。価格.comは「参加者」が36.9%、「観察者」が68.6%、クックパッドは「参加者」が46.7%、「観察者」が77.4%と、クックパッドの方が積極的に参加するユーザーが多い。
『「買ってよかった」をすべての人に。』をコンセプトに掲げる価格.comは、商品購入および検討シーンに的を絞り、価格、スペック、購入者の声とあらゆる切り口の情報を提供している。「何かを購入しようとしたときに一番役に立つ」(50代女性、会社員)という、特定のシーンで欠かせない情報源として機能しているが、日常的にアクセスするプラットフォームではない。
他方、クックパッドは『毎日の料理を楽しみにすることで心からの笑顔を増やす』を経営理念に掲げて、日々の食を通じて楽しく参加できる仕掛けを充実させている。自分のオリジナルレシピを簡単に投稿できる機能や他人のレシピを使ったときに報告する「つくれぽ」、広告主の商品を使ったレシピをユーザーから公募する「レシピコンテスト」はその一例だ。また「料理好きな方々とコミュニケーションを取れるのがいい」(19歳女性、学生)などユーザー同士の交流も参加率が上がる一つの要因だろう。
使い勝手、管理者の信頼性にも高い評価
性格は異なるものの、価格.comとクックパッドの共通点は、継続意向と満足度が両方とも高水準というその高いロイヤルティにある(前回の図2-4を参照)。同じ傾向はアットコスメや食べログなど、やはりCGM系のプラットフォームに見られた。
CGMは語られるテーマが明確なため、利用者がプラットフォームに期待する情報内容と実際のサイト内容との間で食い違いは起こりにくい。これが理由の一つではあるが、別の要因もあることが分析から判明した。図3-3はプラットフォームごとに満足している理由を尋ねた結果で、両プラットフォームと全体を比較している。価格.comとクックパッドは「興味・関心のある情報・知識が得られる」「信頼性の高い情報・知識が得られる」以外にも、「サービスの使い勝手がよい」「運営・管理者が信頼できる」の評価が高い。検索のしやすさを含めたユーザーインタフェースや管理者の信頼性もまた、ロイヤルティに寄与している。