米IDCは米国時間2010年8月3日、同年の世界IT支出予測を前年比6%増(為替の影響を除く)の1兆5100億ドルに引き上げると発表した。企業、政府機関、消費者が先送りにしていたハードウエア買い替えを進めたことで2010年前半のIT支出が急速に回復したことを受け、通年見通しを上方修正した。

 分野別では、ハードウエア関連支出が前年比11%増、ソフトウエア関連支出が同4%増、サービス関連支出が同2%増になると見ている。

 2010年前半は、パソコン出荷が好調に推移し、企業支出が深い不景気から回復し始め、消費者は引き続きスマートフォンなどの新デバイスに熱中した。IDCの世界IT市場および戦略担当バイスプレジデントであるStephen Minton氏は、「2010年前半の高い成長率は、2009年前半が非常に低迷した反動もあるが、これまで抑えられていたハードウエアの買い替えやアップグレード需要が一気に高まっていることを反映しているのも明らかだ」と分析した。

 地域別でみると、2010年における米国のIT支出は、昨年の4%減から5%増に回復する。西欧は3%増で、日本は0.5%増にとどまる。IT市場の回復がはっきり現れるのは主に新興国で、中国が21%増、インドが13%増、ブラジルが14%増、ロシアが17%増となる見通し。

 しかしMinton氏は、逆のシナリオも指摘する。西欧の債務問題、米国の失業率などにより、企業は依然として新たな長期プロジェクトに取り組むことに慎重であり、景気の二番底を警戒している。今後3カ月が、どちらのシナリオへ向かうかを判断する極めて重要な意味を持つという。

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