米iSuppliが米国時間2010年7月8日に発表した半導体製造サービスに関する調査によると、2010年における世界の製造企業の売上高合計は前年の221億ドルから42.3%増加して298億ドルになる見込み。同社は先の発表で前年比39.5増としていたが、需要の回復が見込めることから上方修正した。

 これら製造企業とは、台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(TSMC)や台湾United Microelectronics(UMC)といった半導体受託製造サービス専業企業のこと。

 iSuppliによると、2008年第4四半期から2009年までの景気低迷で需要は大きく落ち込んだが、その反動で2010年は消費者の電子機器製品への支出が増えている。製造企業はこれに応えるべく2010年初頭から生産を加速しており、その結果として売上高が増加するという。また、これら企業の2010年における設備投資額は前年に比べ123%増になると予測している。

 半面、中国本土の製造企業は景気低迷期に十分な設備拡張が行えず、ほかの地域の企業との差異化が図れなかった。低コストのサービスは景気低迷期には好調だが、結果として価格競争力だけでは十分な利益を出せず、生産設備への投資が行えないとiSuppliは指摘する。

 このことから、ファブレスサプライヤーが中国の工場に目を向ける時代は終わるのではないかとiSuppliは予測している。過去2年間、中国の製造企業の生産能力には大きな向上が見られず、2010年も伸展が見込めないからだという。また景気低迷により、中国政府による支援も減っており、今後の設備増強の機会は最小限に抑えられそうだとしている。

 今後、世界における半導体受託製造サービス企業の売上高は、2008年の268億ドルから年平均成長率(CAGR)9.4%で推移し、2014年には459億ドルに達すると予測している。

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