まずは,NTTグループがどのような形になっていると利便性が高いかを聞いた(図1)。その結果は,「ワンストップのサービスを提供できる1社体制のNTTに戻す」が29.5%でトップだった。2ポイント差の27.5%で「NTT地域会社を全国で1社にし,そのほかは現状と同じ」との回答が続く。

一方,グループの解体を意味する「持ち株会社を廃止し,資本関係がないNTT各社が互いに競争」は14.3%にとどまった。また,「現状と同じ持ち株会社の下にグループ会社」との回答はわずか3.7%だった。
この結果には,NTTの地域会社が東西に分かれていることに対するユーザーの不満が表れている。ユーザーの最も強い願いは「サービスのワンストップ化」だろう。ほとんどのサービスのワンストップ化を実現する「1社体制」と,少なくとも東西のサービスのワンストップ化を実現する「NTT地域会社を全国で1社」の合計が,過半数に達しているからだ。
KDDIやソフトバンクのような体制を
ユーザーのその思いは,「NTTグループとKDDIやソフトバンク・グループを比べた場合,利便性が高いのはどっち?」という設問の結果からもうかがえる(図2)。7割近い69.1%が「KDDIやソフトバンク・グループのような体制」の方が良いと回答した。その理由としては,「ワンストップで便利」,「シームレスなサービスが受けられる」,「地域,固定/無線の区別は意味がない」といった意見が並ぶ。
KDDIは固定電話や携帯電話を1社で提供している。ソフトバンク・グループの場合も事業ごとに会社が分かれているものの,実質的に一体で動いている。これらと同じような組織体制を,多くのユーザーはNTTに望んでいる。
一方,「NTTグループのような体制」の方が良いとした回答は2.5%にとどまった。その理由としては,「それぞれが専門性を持ち,企業として持続できる方が強い」が挙げられていた。
東西の“名称違い”には6割が不満
ユーザー企業は,NTTに対して具体的にどんな不満を持っているのだろうか。そこで,NTT東西の通信サービスを利用する際に不満を感じることがあるかを聞いた(図3)。
その結果,「東日本と西日本で組織が別で,通信サービスも東西で分断されていて使いにくい」との回答が70.1%と最も多かった。実に7割の企業が「サービスの東西分断」に対して不満を持っていることが分かる。
第2位は,「類似の通信サービスが,NTT東西で名称や仕様が異なる場合があり分かりにくい」で57.4%だった。以下,「トラブル時などの対応窓口がどこにあるのか分かりにくい」(34.4%),「通信サービスの料金が他社に比べて高い」(33.6%),「NTT東西に規制があるため通信サービスを利用しにくい」(29.1%)と続いている。
一方,「特に不満はない」とした回答は4.5%にとどまった。9割以上のユーザー企業が,NTT東西に対してなんらかの不満を持っている格好だ。