米IDCは米国時間2010年3月24日、高性能コンピューティング(HPC)システムの世界市場に関する調査結果を発表した。それによると、2009年は市場全体が低迷したものの、スーパーコンピュータ分野は好調だった。

 2009年の世界HPCシステム出荷台数は前年比40%落ち込んだ。売上高は86億ドルで、前年の97億ドルから11.6%減少した。しかし、価格50万ドル以上のスーパーコンピュータ分野は、売上高が25%増の34億ドルに達した。中でも300万ドルを超えるシステムは同65%増の10億ドルにのぼった。一方、10万ドル未満のワークグループ分野は同33%減の17億ドルだった。

 売上高(工場出荷時)ベースのベンダー首位は米IBMで、市場シェアは29.3%だった。米Hewlett-Packard(HP)がシェア28.6%でこれを追う。以下、米Dell(シェアは12.7%)、米Sun Microsystems(同4.1%)、米Cray(同4.0%)と続く。

 IBMは、スーパーコンピュータ分野の売上高が前年比37%増加し、同分野でシェア45%を獲得している。しかし全体の売上高は前年比2.3%減少した。HPは、50万ドル未満の分野でシェア33%と優勢だが前年比32%減収となり、全体の売上高は30.6%減少した。ハイエンド機に焦点を当てているCrayはトップ5ベンダーの中で唯一昨年実績を上回り、全体の売上高は57%成長した。

 またIDCの予測によると、同市場は2010年に早期より世界不況の影響から回復し始め、前年比5~7%成長する見込み。HPC部門プログラム担当バイス・プレジデントのEarl Joseph氏は、「不景気の打撃は分野によって差があり、回復の進み具合も分野によって異なる」と説明している。

[発表資料へ]