NHK放送文化研究所は2010年3月15日、シンポジウム「家庭内多メディア共存時代のいま」を開催し、「“子どもに良い放送”プロジェクト」で実施している子供の映像メディア接触に関する追跡調査の中間報告を発表した。
中間報告によると、就学前の子供(0~5歳)が1日にテレビに接触する時間は、1歳時点をピークにしてどんどん短くなっていた(図1)。ただし、接触時間が短くなっているのは主に内容を意識せずにテレビが「ついているだけ」の時間が減っているためで、テレビの内容に意識を向けている「専念視聴」と「ながら視聴」を合計した視聴時間は、1歳時点から1時間半前後とほぼ一定で推移した。
調査ではビデオやゲームの視聴/使用時間についても調べている。ビデオの接触者率と接触時間は、いずれも2歳時点の85%、50分をピークに減少している(図2)。国民生活時間調査(2005年・NHK放送文化研究所)によると10歳以上のビデオの行為者率は8%であり、これを考慮すると0~5歳の時期には多くの子供がビデオに接していると言えるという。
携帯用ゲーム機を含めたゲームについては、年齢が上がるにつれて接触者率と接触時間共に増える傾向が見られた(図3)。特に接触者率は1歳の8.4%から5歳には43.6%に達しており、年齢が上がるにつれ急速に子供たちの生活に浸透している様子が分かるという。接触時間は5歳時点で30分だった。また男女別に見ると、3歳以降接触者率で男子が女子を上回り、年齢が上がるにつれその差が大きくなる傾向が見られた。
この調査は2003年1月から毎年1回、1000人あまりの同じ子供の集団を0歳から継続調査したものである。今回の中間報告は2003年の第1回調査から2008年の第6回調査までの結果をまとめている。NHK放送文化研究所では同じ集団について、最長2014年まで継続して調査を行う予定である。
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