調査内容 2009年度のIT予算の前年同期比増減(業種別)
調査時期 2009年12月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2737件(954件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが12月中旬に実施した、ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者向けの調査で、2009年度(2009年4月~2010年3月期)のIT予算の前年度比(全回答平均は-19.6%、2月2日付け記事参照)を製造、流通、サービスの業種別(下の「■調査概要」参照)に集計したところ、製造業は平均で-28.8%、流通業は同-4.9%、サービス業は同-17.4%だった。

 前回2009年9月調査(全回答平均は-25.0%、製造業平均-31.2%、流通業同-21.5%、サービス業同-18.4%)と比較すると、製造業は2.4ポイント、サービス業は1.0ポイントとわずかに前年度比の予算減少率が縮小した。

図●本年度(2009年4月~2010年3月)予算総計の今年度比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額、業種別)
図●本年度(2009年4月~2010年3月)予算総計の今年度比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額、業種別)

 一方、流通業のIT予算の前年度比増減率平均-4.9%は、2009年9月調査での結果に比べ16.6ポイントも縮小。2009年6月調査での-24.0%(全回答平均は-27.1%)、2009年3月調査での-9.7%(全回答平均は-22.9%)、2008年12月調査での2009年度予算の増減率予測の-12.1%(全回答平均は-14.7%)のいずれと比べても減少率は小さい。前年度比マイナスではあるものの、過去1年を通じて最も高いIT投資意欲がみられた。

 ちなみに製造業の2009年度予算の前年度比増減率平均は2008年12月調査(予測)が-20.5%、2009年3月調査と6月調査は-37.9%、2009年9月調査が-31.2%。サービス業は順に-14.8%、-14.1%、-20.9%、-18.4%と推移している。ともに2009年6月調査時点の削減率を底として上向いているが、まだ2008年12月時点の予測値より今回の2009年12月調査での予算削減率が大きい。

流通業ユーザーの約2割がIT予算を前年度より増やす

 回答の内訳を見ると、今回の12月調査での流通業ユーザーの回答は前回2009年9月調査と比べて、「前年度比で(10%以上)予算を増やす」選択肢の合計が約11ポイント増(前回9.1%→今回20.0%)。「前年度比で(10%以上)予算を減らす」選択肢の合計は約8ポイント減(前回47.7%→今回40.0%)となった。特に前回は合計0%だった「前年度は予算ゼロだったが本年度は予算がつく」と「200%超(倍増を超える)」の比率が、今回の調査では各4.4%となったことが、前年度比増減率の平均値を大きく引き上げている。

 製造業では「(10%以上)予算を増やす」選択肢の合計は7.2%で前回調査から1.5ポイント減。しかし「(10%以上)予算を減らす」選択肢の合計が約7ポイント減った(前回65.8%→今回59.2%)ことで、わずかながら前回調査より前年度比増減率の平均値が上昇(削減率が縮小)した。

 サービス業は「増やす」の合計比率が4.5ポイント増(前回11.0%→今回15.6%)、「減らす」側の合計はほぼ前回と同じ(前回47.9%→今回46.7%)だった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが、ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち、何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に、執行・承認の権限を持つシステム分野の予算を聞いた。新規購入や開発中の案件がなく、年度のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い、減価償却費のみの場合、それらの総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが、自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年度比の平均」は、選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「完全に削減」を-100%、「前年度の50%未満にまで削減」を-75%、「50%以上80%未満にまで削減」を-35%、「80%以上90%未満」を-15%、「90%以上110%以内」を0%、「110%超120%以内」を+15%、「120%超150%以内」を+35%、「150%超200%以内」を+75%、「200%超」を+125%、「前年度の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 「製造業」は「機械製造」、「コンピュータ、周辺機器製造」、「その他電気・電子機器製造」、「上記3種以外の製造業」を合計した。「サービス業」は「サービス業(マスコミ、広告、デザイン、飲食店、その他)」、「専門サービス(弁護士/会計士など)」、「金融/証券/保険業」、「運輸/エネルギー」、「通信サービス」、「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」の合計。「流通業」は「商社」、「コンピュータ関連販売」、「上記2種以外の流通/小売」の合計。なお本調査ではコンピュータ関連業種の回答者にも「自社の業務処理のためのIT投資」について回答することを求めた。
 調査実施時期は2009年12月中旬、調査全体の有効回答は2737件、「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は954件。