調査内容 2009年第4四半期IT予算の分野別前年同期比増減率、分野別予算額
調査時期 2009年12月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2737件(954件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業の情報システム担当者を対象に行った2009年12月調査で、2009年第4四半期(2009年10月~12月期、4Q実績)のIT予算の前年同期比増減率を、適用業務アプリケーションやITインフラの分野、ハード/ソフト別などに細分して聞いた。

 今回提示した全23分野(うち2分野は今回の調査では回答数30未満のため参考値)の四半期予算の前年同期比増減率の平均値(平均の算出方法は下の「調査概要」参照)は、減少率最少が「仮想化基盤、OSの購入」の-13.9%、最大が「経営戦略系」の-43.0%。ただし経営戦略系を除くと-13.9%~-28.9%(「ストレージ系」)の範囲となる(図1)。

図1●最新四半期(2009年10月~12月)IT予算の分野別前年同期比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ範囲)
図1●最新四半期(2009年10月~12月)IT予算の分野別前年同期比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ範囲)
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図2●最新四半期(2009年10月~12月)の分野別IT投資予算額(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲)
図2●最新四半期(2009年10月~12月)の分野別IT投資予算額(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲)
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 前回2009年9月調査(3Q実績)の分野別の平均値は-22.8%~-36.6%、前々回2009年6月調査(2Q実績)は-25.9%~-42.2%、2009年3月調査(1Q実績)は-8.7%~-32.7%の水準だった。

 「経営戦略系」の予算が例外的な動きを見せた(図示していないが回答の内訳を見ると、「完全に削減」の比率が前回2009年9月調査に比べて5.5ポイント拡大し、27.3%を占めたのが響いている)ものの、2Q実績(6月調査)を底として、IT予算の削減率が縮小していく動きはほぼ全ての投資分野に広がっている。

「CRM」「生産管理」「情報系」などの予算が回復へ

 3Q実績(2009年9月調査)は2Q実績(2009年6月調査)と比較可能な22分野すべての前年同期比の予算減少率が2Q実績より小さくなったのに対し、今回の4Q実績(2009年12月調査)では比較可能な21分野中、「経営戦略系」「ストレージ系」「アプリケーション(システム)間連携基盤系」の3分野が、3Q実績より前年同期比の予算減少率が1ポイント以上拡大。3Q実績とほぼ横ばい(2ポイント以内の増減)も「会計」「既存システムの再構築」「新規システム開発」の3分野ある。

 3Q実績では2Q実績に比べ、8分野(「新規システム開発」「仮想化基盤、OSの購入」「アプリケーション(システム)間連携基盤系」「ネットワーク系(WAN、LAN、電話)」「ストレージ系」「ハードウエア購入」「人事・給与」「会計」)の前年同期比予算減少率が10ポイント以上縮小していた。今回調査の4Q実績で予算減少率が横ばいないし拡大となった6分野のうち4分野が、前回調査で急激に予算減少率が縮小した8分野に含まれている。

 ちなみに、今回の4Q実績で予算減少率が3Q実績より10ポイント以上縮小した分野は、「CRM・顧客関連」(1Q実績-24.3%→2Q実績-31.3%→3Q実績-28.1%→今回4Q実績-17.8%)、「情報系(グループウエア、情報共有)」(1Q実績-16.7%→2Q実績-36.9%→3Q実績-31.7%→今回4Q実績-18.5%)、「生産管理」(1Q実績-32.7%→2Q実績-39.9%→3Q実績-34.6%→今回4Q実績-22.1%)、「仮想化基盤、OSの購入」(1Q実績-25.5%→2Q実績-39.6%→3Q実績-23.9%→今回4Q実績-13.9%)の4分野。「仮想化」以外は3Q実績(2009年9月調査)で予算減少率がまだ比較的大きかった分野だ。

前四半期に続き全分野の予算平均額が1月~3月期を上回る

 一方、分野別の四半期予算の平均額(図2)では、21分野のうち8分野の平均額が3Q実績(2009年9月調査)に比べて1000万円以上増加。9分野の平均額が3Q実績に比べ100万円~1000万円増で、4分野は3Q実績に比べ平均額が減少した(うち2分野は今回の調査では回答数30未満のため参考値。算出方法は下の「調査概要」参照)

 ただし減少した4分野(「物流」「セキュリティー」「既存システムの再構築」「新規システム開発」)とも、減少幅は約100万~600万円と比較的小幅。増加した方では「運用・危機対策系」が2009年9月調査に比べ約2240万円増、「エンタープライズ・アーキテクチャー」が同約2100万円増、「CRM・顧客関連」が同約2080万円増と2000万円以上の大幅な伸びを示している。

 2009年3月調査での1Q実績、すなわち2008年度末の四半期の予算平均額と比べて、2009年9月調査の3Q実績は比較可能な21分野すべてが上回ったが、今回2009年12月調査の4Q実績も同様に全21分野が1Q実績の平均値を上回った。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが、ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち、何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に、執行・承認の権限を持つシステム分野の予算(四半期分)と前年同期比増減率を聞いた。新規購入や開発中の案件がなく、四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い、減価償却費のみの場合、それらの本四半期分の総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが、自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は、選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「完全に削減」を-100%、「前年同期の50%未満にまで削減」を-75%、「50%以上80%未満にまで削減」を-35%、「80%以上90%未満」を-15%、「90%以上110%以内」を0%、「110%超120%以内」を+15%、「120%超150%以内」を+35%、「150%超200%以内」を+75%、「200%超」を+125%、「前年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 また本文中の「平均の予算額」は、選択式回答の「本四半期はゼロ」を0、「100万円未満」を50万円、「100万円以上300万円未満」を200万円、「300万円以上1000万円未満」を650万円、「1000万円以上3000万円未満」を2000万円、「3000万円以上5000万円未満」を4000万円、「5000万円以上1億円未満」を7500万円、「1億円以上3億円未満」を2億円、「3億円以上」を4億円に換算して平均した。
 分野別のITインフラ系のうち、「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム、「ネットワーク系システム」はWAN、LAN、電話、「インターネット系システム」は情報発信、電子商取引、マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティー関連のシステムも含む。目的別のうち「運用・保守開発」は信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守、ハード/ソフト別での「ソフトウエア購入」の対象範囲はアプリケーションやミドルウエアを指す、と設問に記載している。
 調査実施時期は2009年12月中旬、調査全体の有効回答は2737件、「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は954件。