米Gartnerが米国時間2009年11月10日に発表した調査結果によると,電子書籍リーダーの市場は端末の販売台数がこのまま順調に伸び,2010年には本格的な普及期に入る見込み。同年の年末商戦時期には大きなブームが到来すると予測している。

 2009年は新製品の発売ラッシュだった。米Amazon.comが「Kindle」の国際版を10月に発売したほか,書店大手の米Barnes&Nobleもカラー画面搭載の「nook」で市場に参入した。ソニーの米国法人も新製品を投入し,新興企業も続々製品を発表するなど市場の転換期となった。

 こうした動向によって消費者には選択肢が生まれた。各社の製品はそれぞれ,米E Inkの電子ペーパーを採用したり,多数の電子書籍フォーマットに対応したりと特長がある。無線接続で書籍を購入できたり,デバイス間でコンテンツを同期することも可能で,消費者の選択の幅を広げている(関連記事1:米Amazon.comが世界で使えるKindle発売,日本からの利用も可能/関連記事2:書籍販売大手のBarnes&Noble,カラー画面の電子書籍リーダー「nook」発売/関連記事3:ソニー米国法人,3G携帯ネット対応の電子書籍リーダー「Reader Daily Edition」)。

 GartnerアナリストのAllen Weiner氏によると,今後はスマートフォン向けのアプリケーションが重要になってくる。例えば米GoogleがWebブラウザ・ベースの電子書籍リーダーを発展させてAndroid搭載機器向けに用意するといったことが考えられる。また米AppleがiTunes Storeでタブレット・デバイスなどに向けた電子書籍を販売するようになれば,電子書籍の市場は急速に拡大する(関連記事:グーグル,オンライン書籍販売を2010年前半に開始か--海外報道)。

 ただし,電子書籍の小売りチャネルの広がりや,出版社の参入がまだ本格的でないことなど,今のところ課題は多いと同氏は指摘する。また電子書籍リーダーの価格は現在200ドル程度が最安値だが,これが100ドル程度まで下がれば消費者をもっと引きつけられるとしている。

 長期的に見れば電子書籍リーダー市場の未来は明るいとGartnerは結論づけている。出版社や新聞社にとっては今が試行時期。今のうちのコンテンツ・プロバイダなどとの連携を進め,販路確立の準備をしておけば,市場が予想より早く発展した際に迅速に市場参入できるとしている。

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