米IDCが米国時間2009年10月29日に発表した世界携帯電話市場に関する調査結果によると,同年第3四半期(2009年7~9月)の世界出荷台数は2億8710万台で,前年同期比で6.0%減少したものの,直前の2009年第2四半期からは5.6%増加した。同社の上級リサーチ・アナリストであるRamon Llamas氏は,「経済危機が始まって以来,携帯電話市場が初めて回復の兆しを見せた」とコメントしている。
第3四半期は多くの販売チャネルが,旧モデルの大幅な価格引き下げを実施し,需要を喚起した。第4四半期は,ベンダー各社がフラッグシップ・モデルを投入する予定であり,さらに市場が拡大すると同社は分析する。
地域別にみると,北米で明暗が分かれた。米国はペンやキーパッド操作によるデータ通信機能を合わせ持つ携帯電話(以下,統合型モバイル機器)とプリペイド式携帯電話がけん引役となり好調だったが,カナダでは統合型モバイル機器が2ケタ成長したにもかかわらず,全体としては前期より縮小した。
西欧市場には強い回復の兆候がみられた。今年に入って初めて,従来型および統合型モバイル機器の出荷台数が,前年同期と前期を上回った。CEMA(中欧/中東/アフリカ)は,前期よりは成長したが,前年同期の水準には届かなかった。
中南米市場は,期待したほど回復しなかった。端末の買い替えが先送りされ,消費者需要も低迷している。特にメキシコでは,増税が携帯電話販売に大きな影響を与えているとIDCは分析している。アジア太平洋地域も予測ほど伸びず,出荷台数が前年同期をわずかに下回った。主要な新興市場である中国,インド,インドネシアがすべて微減であり,回復には時間がかかることを示唆している。ただし,統合型モバイル機器への需要は強く,前年同期比で2ケタ増加した。
出荷台数ベースのベンダー首位はフィンランドのNokia(市場シェア37.8%)が維持した。しかし平均販売価格の低下などにより,同社の売上高は20%減少した。2位は韓国のSamsung(市場シェア21.0%)で,3位は出荷台数が37.4%伸びた韓国のLG Electronics(市場シェア11.0%)だった。
■携帯電話メーカー上位5社の出荷台数とシェア(単位:100万台) ベンダー 2009年Q3 2008年Q3 増加率 出荷台数 市場シェア 出荷台数 市場シェア Nokia 108.5 37.8% 117.9 38.6% -8.0% Samsung 60.2 21.0% 52.0 17.0% 15.9% LG Electronics 31.6 11.0% 23.0 7.5% 37.4% Sony Ericsson 14.1 4.9% 25.7 8.4% -45.2% Motorola 13.6 4.7% 25.4 8.3% -46.4% その他 59.1 20.6% 61.5 20.1% -3.9% 合計 287.1 100.0% 305.4 100.0% -6.0% 出典:IDC[発表資料へ]