調査内容 システム・インテグレーター(SIer)との接触度
調査時期 2009年9月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3215件(1127件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,国内の主なシステム・インテグレーター(SIer)各45社のイメージを調査したところ,「自分の仕事(職務領域)と接点がある」と感じているSIerのトップは富士通(51.8%),2位は日本IBM(50.7%),3位は大塚商会(49.5%)だった。

 主要SIerを評価対象として提示する接触度調査は,2008年10月調査以来ほぼ1年ぶりの実施である。今回の評価対象企業リストの見直しでは,富士通,NEC,日立製作所,日本IBM,日本ヒューレット・パッカード(旧EDSジャパンを含む)のコンピューター・メーカー大手を評価対象に加えた(下の「■調査概要」参照)。これらメーカー大手は2009年6月調査での,「主要ベンダーとの接触度」でも評価を求めている。

「SIerとして」の接触度評価は「SIer」上昇し「メーカー」低下

 2008年10月調査でSIerとして回答者に評価を求めた企業の中で,「接点がある」という評価のトップは今回3位の大塚商会で,2008年10月調査では44.1%,前々回2008年7月調査も44.2%だった。今回の調査では「接点がある」率が前回より約5ポイント上昇している。同じく2008年10月調査でのSIer中2位は,今回8位(42.9%)のNTTデータ(2008年10月調査36.9%,2008年7月調査35.8%)で,これも前回より6ポイント上昇した。

 このように2008年10月調査でSIerとして回答者に評価を求めた企業は,今回の調査では「接点がある」率が高まる傾向にあった。2008年10月調査と今回の調査で比較可能な36社の「接点がある」率は,最小0.0~最大7.4ポイント,平均3.8ポイント上昇した。

 これに対し,2009年6月調査で今回の調査と同じ設問文と選択肢で「接点がある」率を聞いた大手コンピューター・メーカーは,「接点がある」率が4社とも3.2~10.4ポイント低下した(今回の調査で「営業ビジネスユニット」と「各地域支社」に分けて提示したNECを除く,富士通,日立製作所,日本IBM,日本HPの4社)。

「取引実績あり」上位は大手メーカーと事務機器に強いSIer

 今回の調査でも2008年10月調査,2009年6月調査と同じく,各評価対象企業への「接点がある」の内容を「取引/契約実績がある」,「商談等で接触した」,「商談等の接触はない」の3レベルに分けて回答を求めた。「取引/契約実績がある」率の上位は富士通,富士ゼロックス,日本IBMの3社が25%以上で頭一つ抜け出し,リコー(リコーITソリューションズを含む),日本HP,大塚商会が22%台で横並びの4~6位グループ。以下キヤノン(キヤノンマーケティングジャパン、キヤノンITソリューションズを含む)が21%弱,NEC(各地域支社)が19%弱,NECフィールディングが16%弱で,10位には14.6~14.7%のNTTデータと日立製作所が並んだ。

 2008年10月調査での結果と比較すると,「取引/契約実績がある」率が最も大きく上昇したのはオービック(5.5%→8.8%),次いで大塚商会(19.2%→22.1%)。低下したのは富士通エフ・アイ・ピー(9.1%→6.5%)で,上下ともさほど大きな変動はなかった。

 ちなみに,NECで大手企業顧客を担当する「営業ビジネスユニット」は「接点がある」(29.7%),「取引/契約実績がある」(10.2%)とも45社中14位。東名阪地域以外の顧客を担当する「各地域支社」は順に9位(41.1%)と8位(18.8%)。東名阪地域の中堅企業を担当するNECネクサソリューションズは順に24位(25.6%)と23位(7.9%)。富士通の中堅企業を担当する富士通ビジネスシステム(FJB)は「接点がある」19位(28.0%),「取引/契約実績がある」17位(9.1%)だった。

受注失敗率が低いNECフィールディング/都築/日立電サ

 「取引/契約実績がある」と「商談等で接触した」という回答者数の合計を100%として,「商談等で接触した」の比率,つまり「商談までの接点はあったが契約していない」,SIerにとっての受注失敗の比率を見たところ,上位5社は三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS,55.2%),日立情報システムズ(51.5%),東芝情報システム(51.4%),IBMビジネスコンサルティング サービス(IBCS,51.2%),住商情報システム(50.3%)。45社の平均値は39.9%だった。

 逆にこの値が低い,つまり商談に入れば受注に結びつけた率が高いSIerは,NECフィールディング(24.8%),日本HP(26.9%),日本IBM(27.0%),富士通(27.4%),都築電気(28.3%),富士ゼロックス(28.4%),日立電子サービス(旧日立HBMを含む,29.8%)まで7社が30%未満。「接点がある」率下位のSIerの中では都築電気と日立電子サービスが健闘している。

営業のリーチ率が低いMDIS/野村総研/JBグループ/富士ソフト

 「接点がある」という回答者を100%とした場合に「商談等の接触はない」の比率が高い,つまり「職務(担当システム)で接点があると認知してくれているユーザーへの,不接触率が高い」,いわば営業のリーチ率が低いSIerは,MDIS(56.4%),野村総合研究所(53.1%),JBグループ(日本ビジネスコンピューター、リード・レックスなど,52.9%),富士ソフト(52.2%),ネットワンシステムズ(50.2%),日本IBMサービス(ISC-J,50.2%),NTTコムウェア(各地のグループ会社を含む,50.2%)の7社が50%以上だった。

 逆にこの比率が低いSIer(30%未満)は,富士ゼロックス(23.0%),富士通(24.5%),日本IBM(28.0%),リコー(29.1%),大塚商会(29.2%),キヤノン(29.4%)の6社。「接点がある」率の上位6社と同じ顔ぶれだ。「接点がある」率が下位のSIerの中では,都築電気(不接触率42.0%で45社中29位,「接点がある」率は40位)や東芝ソリューション(東芝ITサービスを含む,不接触率43.7%で45社中25位,「接点がある」率は36位)が,同レベルの認知度のSIerの中で比較的リーチ率が高かった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,情報通信関連のシステム・インテグレーター(SIer)主要45社について,「自分の職務領域はこの企業と接点がある」と感じるか,「ない」と感じるかを聞いた。
 2008年1月調査まで,この設問の回答の選択肢は「接点がある」「ない」の二者択一としていたが,2008年4月調査以後は「接点がある(取引/契約実績がある)」,「接点がある(商談等で接触した)」,「接点がある(商談等の接触はない)」,「接点はない」の四者択一(回答必須)としている。
 記事本文の冒頭で紹介したように,2008年10月調査以来ほぼ1年ぶりの実施となったシステム・インテグレーター(SIer)への「接点がある」調査,および明日以後公開の記事での「利用意向」と「存在感」「勢い」のイメージ調査では,今回から富士通,NEC,日立製作所,日本IBM,日本ヒューレット・パッカード(旧EDSジャパンを含む)のコンピューター・メーカー大手を評価対象に加えた。
 富士通とNECについては,今年(2009年)夏から秋にかけて,国内営業体制の大規模な整理・再編に踏み切ったことを考慮し,NECについては「営業ビジネスユニット」(大手企業担当)と「各地域支社」(東名阪地域以外を担当。東名阪地域の中堅企業を担当する「NECネクサソリューションズ」は従来から本調査の評価対象に含まれている)に分けて評価対象とした。富士通については中堅企業担当の「富士通ビジネスシステム」(FJB)が従来から評価対象であり,大手企業担当の「富士通」を新たに評価対象に追加した。
 調査実施時期は2009年9月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3215件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1127件。

図●「職務(情報システム業務)で接点がある」と感じるシステム・インテグレーター(n=1127)
図●「職務(情報システム業務)で接点がある」と感じるシステム・インテグレーター(n=1127)
[画像のクリックで拡大表示]