予算増減率の規模別分析，7～9月四半期は「大規模」が20％減，6月調査より7.5ポイント回復

　日経マーケット・アクセスが9月中旬から下旬にかけて，ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った調査で，2009年第3四半期（2009年7月～9月）のIT予算の前年同期比（全回答平均は－29.1％，10月21日付け記事参照）を，回答者の企業規模別（下の「■調査概要」参照）で集計したところ，大規模ユーザーは前年同期比で平均－20.0％，中規模ユーザーは同－26.5％，小規模ユーザーは同－34.1％だった。

　3カ月前に実施した前回2009年6月調査での2009年第2四半期（2Q実績，2009年4月～6月，全回答平均は－33.6％）についての結果と比較すると，大規模ユーザーの前年同期比減少率は7.5ポイント，中規模ユーザーの減少率は5.2ポイント，小規模ユーザーの減少率も3.5ポイント，それぞれ縮小した。

大規模ユーザーの四半期予算減少率は2008年12月調査の水準に

　大規模ユーザーの四半期IT予算の前年同期比減少率は，2008年12月調査での2008年第4四半期（2008年4Q実績，2008年10月～12月，全回答平均は－17.1％）での平均－18.2％から，2009年3月調査での2009年第1四半期（1Q実績，2009年1月～3月，全回答平均は－25.7％）で平均－29.4％に拡大したが，前回2009年6月調査（2Q実績）で－27.5％へ1.8ポイント縮小。今回の3Q実績で2期連続して減少率が縮小し，2008年4Q実績の－18.2％に近い水準に戻った。

　一方小規模ユーザーの四半期IT予算の前年同期比減少率は，2008年4Q実績では大規模ユーザーとほぼ同じ－18.1％，1Q実績では－22.9％で大規模ユーザーより小幅だったが，逆に前回2Q実績で－37.6％と大きく拡大し，今回の3Q実績でわずかに戻したものの－34.1％。下げ止まったとはいえ，大幅な予算削減が続いている。

　中規模ユーザーは，2008年12月調査（2008年4Q実績）では前年同期比減少率が－11.6％で利用者規模別の3分類の中で最も小さかった。しかし1Q実績で－26.1％に急拡大。前回2Q実績で－31.7％へさらに広がったが，今回の3Q実績では減少率が縮小し，1Q実績と同水準に戻った。

ここでも「完全に削減」の比率が大きく低下

　回答の内訳を見ると，大規模ユーザーで「完全に削減(ゼロになった)」が前回調査の2Q実績時（12.1％）から4.7ポイント減った。「完全に削減」の回答の比率は中規模ユーザーでも前回調査の2Q実績と比べ9.0ポイント減，小規模ユーザーでも6.3ポイント減となっている。また大規模ユーザーでは，前々回1Q実績と比較すると「完全に削減」と「前年同期の50％未満に削減」の合計比率も，30.8％から20.0％へと減少した。

■調査概要
　日経マーケット・アクセスが，ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち，何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に，執行・承認の権限を持つシステム分野の予算を聞いた。新規購入や開発中の案件がなく，四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い，減価償却費のみの場合，それらの総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが，自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
　本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は，選択式回答（最も近いものを一つ選択）の「完全に削減」を－100％，「前年同期の50％未満にまで削減」を－75％，「50％以上80％未満にまで削減」を－35％，「80％以上90％未満」を－15％，「90％以上110％以内」を0％，「110％超120％以内」を＋15％，「120％超150％以内」を＋35％，「150％超200％以内」を＋75％，「200％超」を＋125％，「前年同期の予算はゼロ」を＋200％に換算して加重平均した。
　「企業（利用者）規模」は「回答者が担当・関与する情報システムを利用している就業者数（従業員，パート/アルバイト，派遣就業者を含む）」を聞き，システムの利用者数1000人以上を大規模ユーザー，300人以上1000人未満を中規模ユーザー，300人未満を小規模ユーザーとしている。
　調査実施時期は2009年9月中旬～下旬，調査全体の有効回答は3215件，「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務（企画立案・設計・開発・運用・予算承認など）を担当している」とした実質的な有効回答は1127件。

図●最新四半期（2009年7月～9月）予算総計の前年同期比増減率（回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額，就業者規模別）