調査内容 2009年度のIT予算の前年同期比増減(業種別)
調査時期 2009年9月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3215件(1127件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが9月中旬から下旬にかけて実施した,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者向けの調査で,2009年度(2009年4月~2010年3月期)のIT予算の前年度比(全回答平均は-25.0%,10月22日付け記事参照)を製造,流通,サービスの業種別(下の「■調査概要」参照)に集計したところ,製造業は平均で-31.2%,流通業は同-21.5%,サービス業は同-18.4%。前回2009年6月調査(全回答平均は-27.1%,製造業平均-37.9%,流通業同-24.0%,サービス業同-20.9%)と比較すると,製造業は6.7ポイント,流通業とサービス業はともに2.5ポイント,前年度比の予算減少率が縮小した。

 ただし6カ月前に実施した2009年3月調査との比較では,製造業は今回の平均値の方が6.7ポイント小さい(3月調査の製造業平均は6月調査と同じ-37.9%)が,流通業は3月調査より今回の削減率が約12ポイント大きく(3月調査の流通業平均は-9.7%),サービス業も今回の削減率が約4ポイント大きい(3月調査のサービス業平均は-14.1%)。四半期単位の予算増減率の集計結果(昨日10月27日付け記事参照)に示したように,6月時点と比べると3業種ともIT投資意欲が復活した兆候が見られるが,3月時点と比べるとまだ厳しい投資計画が続いている。

製造業の「減らす」は5ポイント減ったが依然3分の2は「減らす」

 回答の内訳を見ると,今回の9月調査では製造業で,前年度より1割以上予算が増えるとした回答(「110%超120%以内」~「前年度は予算ゼロだったが本年度は予算がつく」)の合計比率が6月調査より約5ポイント拡大し,前年度より1割以上予算が減るとした回答(「80%以上90%未満」~「完全に削減」)の合計比率が5.5ポイント減った。ただし前者は合計9%足らず,後者は65.8%を占めており,依然として前年度比平均-30%強の大幅な予算減が見込まれている状況だ。

 流通業については,「前年度より増やす」の合計比率はほぼ前回調査と変わらない(前回10.4%→今回9.1%)が,「減らす」側の合計が約10ポイント減り,「ほぼ前年度並み」が約12ポイント増えた。特に「完全に削減」が約6ポイント減った(10.4%→今回4.5%)が目立っている。

 サービス業は「増やす」の合計比率は前回調査とほぼ同じ(前回9.8%→今回11.0%)で,「ほぼ前年度並み」は微減(3.4ポイント減)。「減らす」側の中で,「完全に削減」と「50%以上80%未満(2~5割減)」の比率がともに約4ポイント減り,「80%以上90%未満(1~2割減)」と「前年度の50%未満(5割以上削減)」は5~6ポイント増えている。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム分野の予算を聞いた。新規購入や開発中の案件がなく,年度のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い,減価償却費のみの場合,それらの総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが,自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年度比の平均」は,選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「完全に削減」を-100%,「前年度の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「前年度の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 「製造業」は「機械製造」,「コンピュータ,周辺機器製造」,「その他電気・電子機器製造」,「上記3種以外の製造業」を合計した。「サービス業」は「サービス業(マスコミ,広告,デザイン,飲食店,その他)」,「専門サービス(弁護士/会計士など)」,「金融/証券/保険業」,「運輸/エネルギー」,「通信サービス」,「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」の合計。「流通業」は「商社」,「コンピュータ関連販売」,「上記2種以外の流通/小売」の合計。なお本調査ではコンピュータ関連業種の回答者にも「自社の業務処理のためのIT投資」について回答することを求めた。
 調査実施時期は2009年9月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3215件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1127件。

図●本年度(2009年4月~2010年3月)予算総計の今年度比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額,業種別)
図●本年度(2009年4月~2010年3月)予算総計の今年度比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額,業種別)