IDC Japanは2009年10月15日,「国内オープンソースソフトウェア利用実態調査」の調査結果を発表した。調査によれば,オープンソース・ソフトウエアを導入している国内企業は17.1%,具体的に導入を検討している企業は7.1%で,約半数は景気後退が検討のきっかけだった。

 同調査は,2009年8月に国内企業3939社を対象に行った。OSSを既に導入している企業は17.1%,具体的に導入を検討している企業は7.1%,これから導入を検討していく企業は17.9%だった。具体的に導入を検討している企業280社のうち47.1%が,「2008年の金融危機以降の不況によるIT投資削減が,OSSの導入検討のきっかけとなった」とと回答している。

 IDC JapanではOSSを既に導入している,もしくは導入を検討している企業1088社に対し,OSSの利用実態について2次調査を実施した。既に実施済みのプロジェクトでは「Apacheを使用したWebサイトの開発」が23.5%,「Linuxサーバーの新規導入」が22.3%と多かった。

 実施を検討しているプロジェクトでは「OSSのオフィス・ソフトウエアの導入」が20.5%と最も多かった。また「Linuxデスクトップの導入」も16.1%と回答が多く,IDC Japanでは「デスクトップ環境へのOSS導入機運が高まりつつある」と見ている。

 実施を検討しているプロジェクトとしては「WindowsサーバーからLinuxサーバーへの移行」が19.2%と2番目に多く,その次に「OSSの業務アプリケーション(CRM,ERM,グループウエアなど)の導入」が続く。IDC Japanでは「これまでOSSはOSから始まり,Webサーバー,データベースやアプリケーション・サーバーへ利用拡大が進んできたが,今後はOSS業務アプリケーションの利用も高まっていくと考えられる」としている。

 OSSのメリットとしては「導入コストを削減することができる」が46.4%,「運用コストを削減することができる」が37.5%と,コスト削減を挙げる企業が最も多い。「ソフトウエアの選択肢が拡がり,自社に最適なものを探すことができる」が3番目で28.1%,「ベンダー依存から解放される」が4番目で25.8%。

 デメリットについては「緊急時のサポート対応が迅速にできない」が34.2%で最も多く,「バージョンアップなど将来のプロダクトが見えない」が28.5%,「使用するOSSとそのコミュニティがいつまで存続するか分からない」が26.6%で続いている。

 IDC Japanでは「景気後退によって企業がIT投資の削減に動く中,OSSはコスト削減の手段として非常に有効であり,ユーザーもそのことを強く認識している。ITソリューションベンダーは,OSSを積極的に活用することで,ユーザーの強いコスト削減要求を満たすとともに,競合他社との優位性を高めることができる。その際,最大の懸念材料となっているサポートについて,その範囲や対応するOSSの種類など内容を明確化し,メニュー化などを含めてユーザーに分かりやすいかたちで示すことが重要となる。また,活用するOSSについて,コミュニティの将来性や開発体制を分析し,ユーザーに不安を与えないOSSを選定していくことが必要」(IDC Japan ソフトウェアマーケットアナリストの入谷光浩氏)と分析している。