調査内容 2009年第3四半期IT予算の前年比増減,IT予算額
調査時期 2009年9月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3215件(1127件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業の情報システム担当者を対象に行った2009年9月の調査で,回答者が予算執行・承認権限を持つ2009年第3四半期(7月~9月,3Q実績)のIT予算の前年同期比の増減率は平均-29.1%(平均の算出方法は下の「調査概要」参照)。依然として前年同期から約3割減と大幅な投資抑制傾向が続いているが,第2四半期(4月~6月)の-33.6%に比べると上向きに転じた。

 2008年第3四半期(7月~9月)(2008年9月調査,2008年3Q実績,前年同期比平均-3.9%)以後,2008年第4四半期(10月~12月)(2008年12月調査,2008年4Q実績)の平均-17.1%,2009年第1四半期(1月~3月)(前回2009年3月調査,1Q実績)の平均-25.7%,前回2009年6月調査(2Q実績)の-33.6%まで4四半期連続してIT予算の前年同期比減少率が拡大してきたが,ようやく歯止めがかかった格好だ。

「予算全面カット」が前四半期より減少,ただしまだ「5割以上削減」どまり

 回答の内訳を見ると,「前年同期比で(10%以上)予算が増加」側の選択肢の合計比率は7.3%で,6月調査(2Q実績)の5.7%からわずかに増えたが,1Q実績の9.4%をまだ下回っている。「前年同期比で(10%以上)予算減」側の合計比率は57.0%で2Q実績と同じだ(1Q実績は50.9%)。

 今回,予算の減少率がわずかながら持ち直したのは,「完全に削減(ゼロになった)」の比率が前回2Q実績の19.9%から約6ポイント少ない14.0%となったことの影響が大きい。ただし「前年同期の50%未満にまで削減」の比率が,前回2Q実績の13.7%から5.1ポイント拡大した18.8%となっている。「IT予算を全てカット」という企業・組織は第2四半期に比べてかなり減ったものの,そのほとんどは1段階緩和しただけで,「前年同期比5割以上削減」の厳しい投資抑制を続けていると見られる。

「予算ゼロ」が大幅に減り,予算額平均は2008年1Q以来の高水準に

 同じ2009年9月の調査で,回答者が執行・承認権限を持つ2009年第3四半期のIT予算の規模を聞いたところ,「平均の予算額(四半期予算平均額INDEX)」(算出方法は下の「調査概要」参照)は約3745万円となった。前回調査(2Q実績)の約2483万円,2009年3月調査(1Q実績)の約2365万円に対して約1.5倍である。

 2008年にさかのぼっても2008年12月調査(08年4Q実績)は約2653万円,2008年9月調査(08年3Q実績)は約3135万円,2008年6月調査(08年2Q実績)は約3440万円。今回の平均約3745万円は,2008年3月調査(08年1Q実績)の約3966万円以来の高水準だ。

 前回調査(2Q実績)と比べた顕著な差は,「本四半期は予算ゼロ」の比率が13ポイントも減少(15.7%)したことである。08年1Q実績~08年3Q実績の間は「本四半期は予算ゼロ」の比率は12%前後で推移していたが,08年4Q実績で23.0%に急増。2009年に入っても1Q実績で約20%,2Q実績は28.7%。それが今回の3Q実績で,ようやく08年3Q実績に近い水準に戻った。

 また,回答数はさほど多くないものの「3億円以上」と「1億円以上3億円未満」という大きな予算額の領域の合計比率が,今回調査の3Q実績では10.2%を占めている。この「1億円以上」の合計比率が10%を越えたのは,08年1Q実績(10.0%)以来である。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム予算(四半期分)の総計を聞いた。
 新規購入や開発中の案件がなく,四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い,減価償却費のみの場合,それらの本四半期分の総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが,自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式(最も近いものを1つ選ぶよう求めた)回答の「完全に削減」を-100%,「昨年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「昨年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 また「平均の予算額(四半期予算平均額INDEX)」は,選択式回答の,「予算はない(本四半期はゼロ)」を0,「100万円未満」を50万円,「100万円以上300万円未満」を200万円,「300万円以上1000万円未満」を650万円,「1000万円以上3000万円未満」を2000万円,「3000万円以上5000万円未満」を4000万円,「5000万円以上1億円未満」を7500万円,「1億円以上3億円未満」を2億円,「3億円以上」を4億円に換算して平均した。
 調査実施時期は2009年9月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3215件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1127件。

図1●最新四半期(2009年7月~9月)IT投資予算総計の前年同期比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額,n=463)
図1●最新四半期(2009年7月~9月)IT投資予算総計の前年同期比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額,n=463)

図2●最新四半期(2009年7月~9月)のIT投資予算額(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲の総額,n=432)
図2●最新四半期(2009年7月~9月)のIT投資予算額(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲の総額,n=432)