文化庁が3月に行った国語に関する世論調査によると、言葉や言葉遣いに影響を与えるメディアとして「パソコン(インターネット)」を挙げる回答が23.9%と、5年前の調査から9.2ポイント伸びた。「テレビ」は90.3%と最も多く挙がったが、5年前から2.4ポイント低下し、「新聞」は54.6%と同5.6ポイント下がった。「雑誌」は22.8%、「ラジオ」は21.8%、「本や辞典」は9.4%といずれもパソコンを下回っている。「携帯電話」は14.3%だった。

 調査回答者のうちインターネットを利用している割合は55%。10歳代はほぼ全員が利用し、20―30歳代は9割前後、40歳代は8割強、50歳代は5割強、60歳以上は2割弱となっている。

 インターネットの利用方法は「買い物、オークション」が最も多く47.6%。「官公庁・企業サイトの利用」が46.1%でこれに次いだ。利用しているサイトの言葉遣いについて聞くと、官公庁・企業については51.3%が「特に問題を感じない」と回答した。一方「匿名性の高い掲示板」の利用率は8.1%だが、利用者の77%はその言葉遣いについて問題を感じている。「攻撃的できつい言葉が多い」が56.3%で最も多く、次いで「若者言葉や俗語、流行語などが多い」が42.5%だった。

 79.7%の人はパソコンや携帯電話の普及で言葉や言葉遣いが影響を受けると考えており、これは5年前(78.9%)と変わらない傾向。影響の規模については「多少の影響」という人が41.0%と5年前から4ポイント低下する一方、「大きな影響」があると考える人は38.7%で4.8ポイント上昇した。

 具体的な影響の内容については「漢字が書けなくなる」が59.7%で5年前(60.9%)と同じく最も多かった。「手紙などの伝統的な書き方が失われる」との意見は28.5%で7.1ポイント低下し、「言葉の意味やニュアンスが変わる」が7.9ポイント上昇して42.2%となった。

 調査は16歳以上の男女3480人を対象に個別面接方式で実施し、1954人から有効回答を得た。回答率は56.1%。

■関連情報
・文化庁のWebサイト http://www.bunka.go.jp/