英Juniper Researchは英国時間2009年7月28日,無線ブロードバンド技術のWiMAX 802.16eについて調査した結果を発表した。それによると,WiMAX 802.16eブロードバンドの加入者数は2014年には約5000万人まで増加する見通し。同社はその要因として,現在ブロードバンドが未提供の地域でニーズが高いことを挙げている。

 WiMAX 802.16eは,有線ネットワークの敷設が困難な地域で,ブロードバンド接続を簡単かつ安価に提供することが可能だ。同調査報告書の作成に携わったHoward Wilcox氏は,「発展途上国だけでなく,先進国でDSLが十分に行き渡っていない地域にも,WiMAX 16eの市場機会がある」と説明する。

 WiMAX 802.16eは環境整備に何度も遅延が発生したことで,当初の見込みよりも普及に時間がかかっているが,パキスタンや米国などさまざまな国で,WiMAX事業者が成功を収めてきた事例がある。

 WiMAX 802.16eの加入者数が最も多くなるのは,同技術を早くから採用している極東や中国。西欧と米国では,DSLが普及していない地域でWiMAX 802.16e加入者が増加するが,西欧の方が増加率が高くなる。アフリカと中東では西欧を上回るペースで加入者が増加する可能性が高く,2014年には,世界全体のWiMAX 802.16e加入者の約15%を占めるまでに拡大する。

 次世代モバイル・ブロードバンド技術としては,LTE(Long Term Evolution)も注目を集めている。Juniper Researchは,LTEの加入者数が2014年には1億人を超えると予測している(関連記事:次世代モバイル・ブロードバンド技術のLTE,2014年には加入者が1億人超へ )。また米メディア(CNET News)によると,調査会社の米In-Statは,米AT&Tや米Verizonなどの大手通信事業者がLTEを支持していることから,WiMaxはLTEとの戦いに敗れる可能性があるとみている。

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