携帯電話機の台数の伸びが鈍り,買い換え期間も長くなっている。一般的な携帯電話機に対して,今後の成長が期待されるのがスマートフォンだ。モバイル・ネットワークを介して流通する各種コンテンツ利用拡大の起爆剤としての役割もある。日経BPコンサルティングは2009年6月上旬に行った「携帯電話“個人利用”実態調査」で,スマートフォンについても設問を用意し,個人の利用状況を調べた。

スマートフォンの利用率は3.3%

図1●スマートフォンのシェア
図1●スマートフォンのシェア
各通信事業者がスマートフォンと分類している機種を対象に,その利用状況を尋ね,通信事業者ごとに回答を集計した。

 スマートフォンは,QWERTYキーボードやソフトキーボーを備える,Windows MobileなどのOSを搭載する,パソコン用のファイルを表示できるなど,一般的な携帯電話機より高機能である。携帯電話会社(通信事業者)がスマートフォンと銘打って,一般的な携帯電話と区別して販売している場合が多い。

 今回の調査では,各通信事業者がスマートフォンと分類している機種を対象に,その利用状況を尋ねた。回答を通信事業者ごとにまとめてシェアを計算した結果,個人でスマートフォンを所有している人は回答者全体の3.3%。通信事業者別のシェアは,ソフトバンクモバイル35.0%,ウィルコム28.7%,NTTドコモ28.0%,イー・モバイル4.9%,KDDI(au)3.5%という結果が得られた(図1)。

満足度が高いのはソフトバンク

 スマートフォンを所有している人に,使っているスマートフォンの満足度を尋ねた。尋ねた項目は8項目。具体的には,「形状・デザイン・サイズ」「画面・画像」「キーボードの操作性」「GUI」「通信速度」「データ通信料金」「ファイル閲覧」「アプリケーション」である。

 満足度は,項目ごとに選択肢として「満足」(100点),「やや満足」(50点),「普通」(0点),「やや不満」(-50点),「不満」(-100点),「わからない」(算定外)を尋ねた。それぞれの選択肢の回答数と点数の加重平均を満足度ポイントとした。満足度ポイントが高いほど,利用者の評価が高い。

 通信事業者別にみると,iPhoneの利用者が多いソフトバンクの満足度が高い(図2)。比較した8項目の中で「形状・サイズ・デザイン」「画面・画像」「GUI」「アプリケーション」の5項目で1位となった。イー・モバイルは「通信速度」と「データ通信料金」で,NTTドコモは「キーボードの操作性」で1位となった。

図2●スマートフォンの満足度<br>スマートフォンの満足度を各通信事業者別にレーダー・チャートにまとめて比較した。
図2●スマートフォンの満足度
スマートフォンの満足度を各通信事業者別にレーダー・チャートにまとめて比較した。
[画像のクリックで拡大表示]

「今後,利用してみたい」は14.4%

図3●今後の利用意向
図3●今後の利用意向
スマートフォンを所有していない人に今後の利用意向を尋ねたところ,「今後,利用してみたい」が14.4%だった。

 現在所有していない人は,今後どのような行動を取るのだろうか。スマートフォンを所有していないとの回答者に,今後の利用意向を尋ねたところ,「今後,利用してみたい」が14.4%だった(図3)。一方,「今後,利用してみたいとは思わない」が47.0%とほぼ半数。「わからない」は38.5%だった。

 最近,スマートフォンの種類が増えており,スマートフォンの普及が進む可能性がある。米グーグルのスマートフォンOS「Android(アンドロイド)」を搭載した携帯電話端末や,米マイクロソフトのモバイル機器向け新OSであるWindows Mobile 6.5搭載端末などの登場だ。「Android(アンドロイド)」は,インターネットとの親和性を売り物にしている。Windows Mobile 6.5は,これまでとは外見を一新,指でのタッチ操作に最適化されたユーザー・インタフェースを搭載した。

 さらに,高速モバイル・ネットワークのサービス開始も,スマートフォンの普及にとって追い風である。3.9Gサービスは,2010年9月に先陣を切ってイー・モバイルが開始する予定だ。高速モバイル・ネットワークとスマートフォンのような高機能端末の組み合わせで,コンテンツの流通も拡大しそうだ。

調査概要
調査名携帯電話“個人利用”実態調査2009
調査内容:携帯電話の個人利用実態とその動向を調査した。全153問
調査対象:全国の携帯電話利用者(PHSも含む)
調査方法:Webアンケート調査
調査期間:2009年6月4日(木)から8日(月)まで
回収数:11区分の年齢区分(15歳以上から5歳刻み,65歳以上は一括)に対して男女それぞれ200人ずつ,合計4400人
調査の実施および集計日経BPコンサルティング