MM総研(本社:東京都港区)は2009年6月3日、08年度の国内PCサーバー出荷台数が前年度比2.5%減の54万2230台だったと発表した。出荷金額ベースでは同10.2%減の2010億円で、ドットコムバブルがはじけた2002年度以来、6年ぶりの2ケタ減となった。09年度も厳しい状況が続き、2期連続の2ケタ減となる可能性が高いという。

 08年度下半期の景気悪化に伴い、企業がIT投資を抑制したことが市場縮小の主な要因。特に、大手の金融業や製造業を中心にサーバーの投資が抑制され、既存投資の中止も相次いだ。ただし、地銀・保険・医療・公共などの分野は、システム刷新や電子カルテ化などで比較的堅調という。下半期は台数ベースで前年同期比10.2%減の26万6045台となり、1995年の統計開始以降最大の台数減を記録した。

 PCサーバーの平均単価は37万1000円で、前年度から3万1000円下落。いったん下げ止まっていたが、パーツ価格の下落やメーカーの積極的な値下げ攻勢により、再び単価下落の傾向が顕著になっている。

 09年度の出荷台数は前年度比6%減の51万台になると予測。PCサーバー自体は、UNIXやメインフレームなど大規模サーバーの入れ替えや、WiMAXなど次世代通信網の拡大にけん引されて、出荷増が見込まれるという。下半期には台数減が底を打ち、10年度には回復するとみている。

 08年度のメーカー別実績は、NECがシェア26.6%で首位を維持、前年度(25.3%)から拡大した。中堅・中小企業や公共関連での需要の落ち込みが小さかったためという。2位の日本ヒューレット・パッカードは同23.8%で、大手が投資を控えたことが影響し、NECとの差が広がった。以下、デル(16.7%)、富士通(14.6%)、日本IBM(10.4%)で、順位に変動はなかった。

 MM総研は、各社のハードでの差別化は難しくなっていると指摘。その一方で仮想化ソフトを活用したサーバー統合やデータセンターの効率化が重要なテーマとなっており、仮想化されたサーバーをいかに柔軟、容易に管理していくかという運用・ソフトウエアの部分に付加価値が移っているとしている。