データ通信カードが,1ユーザーの2契約目獲得のための端末として通信事業者から注目を集めている。2008年にイー・モバイルが,ネットブックPCとデータ通信カードの利用契約のセットで購入時100円という破格値で提供を始め,データ通信カード市場に火がついた。これによりイー・モバイルは,2008年10月にNTTドコモ,KDDI(au)を抜き,月間純増数第2位となった。そこで日経BPコンサルティングは,2009年3月に全国のデータ通信カード・ユーザー1726人に対し,データ通信カード利用の満足度を調査した。その結果,データ通信カード利用における満足度において,NTTドコモが総合満足度を含めた15項目中8項目で1位となった。

通信エリア,速度,端末,料金など15項目で評価

 今回のデータカード利用満足度調査では,「通信エリア(屋外)」,「通信エリア(屋内)」「データ通信速度」,「通信品質(接続までの時間)」,「通信品質(通信中の切断)」,「端末の価格」,「端末の性能/機能/使いやすさ」,「端末デザイン/サイズ」,「利用できるアプリケーション」,「月額利用料金」,「料金プラン/割引サービス」,「データ通信定額制」,「販売店・ショップ店員の対応」,「アフターサービス・サポート」と「総合満足度」の15項目について4段階評価(非常に満足,どちらかといえば満足,どちらかといえば不満,不満)で回答してもらった。

 各満足度をスコア化(満足度ポイント)した結果(図1)をみると,NTTドコモの満足度の高さがよくわかる。今回,総合満足度をはじめとした15項目中8項目で満足度1位となった。特に,エリア,通信速度,通信品質といったデータ通信の基盤となる項目での満足度の高さが目立っている。さらに顧客満足度を決める重要な要素である店員の対応,アフターサービスにおいても他キャリアと比較して高い満足度を得ていた。

図1●データ通信カード利用における顧客満足度(2009年3月実施)<br>本調査は,データ通信カード所有ユーザー1726人(NTTドコモ:n=384,KDDI(au):n=333,ソフトバンク:n=308,イー・モバイル:n=300,ウィルコム:n=401)に対し,2009年3月12~16日にWebアンケートで実施したものである。
図1●データ通信カード利用における顧客満足度(2009年3月実施)
本調査は,データ通信カード所有ユーザー1726人(NTTドコモ:n=384,KDDI(au):n=333,ソフトバンク:n=308,イー・モバイル:n=300,ウィルコム:n=401)に対し,2009年3月12~16日にWebアンケートで実施したものである。
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前回調査と比べてKDDI,イー・モバイル,ウィルコムが下降傾向

 実は2008年11月にも同様の調査を実施している。この前回調査の結果と比較すると,満足度に大きな変化が見られ,前回満足度の高かったKDDI(au)を含めた他キャリアの満足度が下降傾向にある一方,NTTドコモの満足度が全体的に上昇している(図2)。前回の調査で1項目も満足度1位の項目が無かったNTTドコモが,約半年間で大きく改善されているといえる。特にNTTドコモの通信エリア,品質に関しては,大幅に改善されたようだ。

図2●データ通信カード利用における顧客満足度(2008年11月実施)
図2●データ通信カード利用における顧客満足度(2008年11月実施)
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 一方のイー・モバイルは,前回ではデータ通信速度,通信品質での満足度が高かったが,今回は若干下降傾向にある。またデータ通信速度におけるウィルコム・ユーザーの不満度が目立つ。これはメガクラスのデータ通信速度を提供している他キャリアとの差が大きく影響している。データ通信速度の不満により,ウィルコムからイー・モバイルへキャリアを乗り換えているユーザーも多い。